金融危機:自由化から規制強化へ

~例えばガソリン価格が乱高下しては困るので~

 堅い話が続いて恐縮ですが、ギリシャ発のユーロ危機の話をしたいと思います。

 直近で言えば、ユーロは下げ止まったかに見えていますが、強まっていた金融市場のリスク回避姿勢が一旦和らいだだけで、実体経済とは全く関係なく、今後どのような動きになるのかは非常に微妙です。

 このギリシャ発ユーロ危機は、どうして起きたか、ですが、背景にはEUの域内各国の財政調整の失敗と競争力格差と言う構造的問題があり、「あ~ユーロがドイツマルクのように強い通貨になると思ってたのに」、という失望感は非常に根強いと思います。

 すこし国際的な動きを追ってみたいと思います。

 これまで中国は、地政学的な理由もあり、また、ドルに対するリスクヘッジのため、また本質的には欧州貿易取引のため、ユーロ保有比率を高めてきました。更に言えば、アジア圏では、世界の中で唯一経済をリードしているアセアン諸国(特に主要5カ国)で部品を作り、中国で組み立て、欧州に売る、という流れができており、アメリカを牽制するアジア圏にとって取引通貨をユーロにしておく(投資する)のは大きなメリットがありました。

 しかし、ここにきて、アセアン主要5カ国や中国などの新興国は、ユーロ投資に慎重になっているという観測が広がっています。外貨準備世界一の中国がユーロ保有の政策比率を変更するとか、クウェート投資庁がユーロへの投資を減らす、などという憶測が報じられ、市場に緊張が走ったりしました。両国は、事実ではないと否定しましたが、火のないところに煙はたたないわけですから、市場もいらいらが募ります。

 一方、欧州では、投機売りを牽制しようと、ドイツが単独で(EUの誰にも相談することなく)国債の空売り規制を発表。すると、規制を嫌う市場から反発をうけ、逆にユーロ下落。諸外国から猛反発を受け、最終的には各国連携で規制に動き出したりしています。

 そしてさらに、欧州では、本質的な問題である各国の財政問題について、一致して緊縮財政に向かっています。先のG20で世界同時不況を受けて財政出動の方向に向かっていたのに(日本以外は)、また逆戻りで、おそらく景気は悪化の方向に向かうことになると思います。

 アメリカは自国の防衛で手一杯です。

 更に言えば、北朝鮮の韓国哨戒艦に対する魚雷攻撃と、その認定公表により、金融市場が反応したことはご存知のことと思います。地政学リスクです。軍事衝突の可能性が高いとの観測、特に、関係国の同意状況にもよりますが、来週にでも安保理に提起しようという勢いですから、市場マインドは緊張する他ありません。結果、アジア関連株が大きく下げました。

 つまるところ、総じて言えば、大混乱です。見通しも立ちません。しかし、EUの金融機能がこれほどまでに弱いものかと思った人も少なくないのではないでしょうか。昔、アジア通貨危機の際、チェンマイイニシアティブと言って、アジア防衛策をアジアでとろうという機運が高まり、実際に発効。現在、ASEAN+3の枠組みで名目900億ドルほど準備があります。こうした対応策は、EUにはなかったのか、あっても発動しなかったのか、私はしりませんが、混乱しているのは間違いありません。

 しかし、仮に今回、EUにチェンマイイニシアティブのような対応策があったとしても、本質的には投機筋の管理規制が必要だと思います。アメリカ発の金融危機で、アメリカも金融規制強化の方向に動いています。欧州もしかりです。過度の規制強化には賛成できませんが、過度の投機は規制してしかるべきと考えます。(昔、洞爺湖サミット前後、原油価格が投機マネーのせいで高騰し、国民生活に多大な悪影響を及ぼしましたが、当時の議長であった福田総理が洞爺湖サミットの主要テーマを環境から金融規制に切り替えていれば、多少は収まったのにと残念に思ったことを思い出します。)

 問題は、日本が全くその動きに同期していないことです。なぜかと言えば、日本は過度の投機対象にはされていないからです。なぜかといえば、市場が不透明だからというのです(リーマンショックのとき、中国政府系ファンドがアメリカの金融機関を助けましたが、そのとき日本人記者が日本の政府系ファンドを検討したか訪ねたところ、金融機関の人が、日本の政府系ファンドは透明性で中国に劣ると明言していたのが非常に新鮮であり、驚かされました。)

 しかし、悠長なことは言ってられません。FTAの網の目が張り巡らされ(米韓・中韓も進行中で日本は取り残されぎみだが)、経済交流が活発になれば、より市場の流れは複雑になることが考えられます。遅くならないうちに金融市場から親しまれる規制の導入を急がなければなりません。その際、国際協調が体制なのは言うまでもありません。こうした過度な投機を牽制することは、ひいては、国民生活に密接に関連する石油価格の安定にも繋がるはずだと信じています。

すいません、また、長くなりました。

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