中国のしたたかなレアメタル戦略

 レアメタル投信が東京証券取引所で始まる機運があります。注目されている現われです。こうして注目される遥か10年以上も前から、中国は虎視眈々とレアメタルに焦点を当ててきました。それは温家宝さんや胡錦濤さん(毛沢東さんから数えて第四世代の人々といわれています)が元々理科系、しかも地質学系の人で、リーダとなった現在、その知識と外交を結びつけて、外交カードにしようとしています。更なる虎視眈々は第五世代の人たちは外国でMBAなどを取得したマネージメントのプロです。

 何のことか。レアメタルやレアアースは、高精度工作機械や環境技術(プリウスに代表される高出力モータ)には不可欠な素材です。その産出量たるや、今や中国が全世界の90%以上にもなる素材が多数あります。20年以上前はアフリカなどが主要産地でした。

 つまり、将来、中国がレアアースを売らないよ、と決めれば、プリウスは生産できなくなるわけで、また高精度機械の切削加工に必要なタングステンを売らないよ、と決めるだけで、世界中の高精度機械が生産できなくなるわけです。

 特に環境技術は日本にとって科学技術のエースともなりえるものですから、日本としてはこれを外交カードとしない手はありません。日本から中国へのODAは既に何年も前から停止しておりますが、最近、「環境技術がないから技術援助してくれ」という話が中国から来ています。

 中国にとって素材とアプリの両方を握れば鬼に金棒になるわけで、これに軽々に友愛精神的に技術供与話に乗ってしまっては、自分の首を絞めるだけです。