原発の行方〜柏崎刈羽原発視察

新潟県の柏崎刈羽原発にお邪魔しました。世界最大の発電能力をもつこの原発も中越地震から一部が止まり、東日本大震災後に全炉停止となっています。原発問題を考える上で、一度は現地に赴いて地元の皆様のご意見を伺わなければ議論もできまいと思い、10時間かけて参りました。

驚いたのが地元のご意見。原発再稼動について、地元の経済状況や放射能漏れの恐怖など、肯定否定種々の思いが交錯しているのであろうと想像しておりましたが、もちろんそれもあるけど、そもそも日本国家としてのエネルギー政策のあり方を真剣に考えているんだ、とおっしゃった方がいらっしゃったことに、驚きさえ感じました。

さて、原発施設内は、時間の制約がありながら東電から真摯な態度で細部まで見せて頂きご説明賜りました。例えば防潮堤。高さ15mに設定したそうですが、考えてみれば何を根拠に15mというのは難しい。通常日本海側では5m程度と言われているそうですが、それを施設のエンジニアリングジャッジとして15mとしたとのこと。積極的であると感じました。防潮堤だけで200億円とのこと。

防潮堤内部の施設では、給排気口にもわざわざ浸水防止壁を設けて二重三重の対策を講じ、福島で話題になったベント装置は通常電磁弁による開閉が行われていますがそれを手動でも開閉できるように工夫がなされていたり、また、電源喪失に対しては電源車を20台規模、一部はガスタービン発電車まで用意し、その燃料である経由は高台の地下タンクに貯蔵するという念の入れよう。冷却水も高台に貯水タンクを設け、更に海水から冷却水を製造する特殊車両も設置し、ここも幾重にも安全対策がとられていることをこの目で見ました。これらはごく一部ですが、福島の問題がフィードバックされている箇所が随所に現れています。この柏崎刈羽ではこれまで3200億円の対策となっているようで、それに留まらずこれからも考えられることは行っていくそうです。

問題は1つ。このブログでも以前から指摘をしておりましたが、パッシブセーフティの概念。シビアアクシデント発生時にはどうしても、起きてしまった際の対策をとらなければなりません。工学的にはどんなことでも完璧はありえない。起きてしまったときの安全確保をもって、トータルで完璧に仕上げなければなりません。

その一つが関連自治体との避難誘導や情報伝達方法などの具体策の協議。細部は分かりませんでしたが、東電側の説明と柏崎市長、刈羽村長両者のご意見を伺って思ったのは、この部分、未だ未完成ではないかということです。詳細を良く拝聴できませんでしたので、厳密に言えば既に整っているのかもしれませんが、精査して、不備があるなら早急に整備する必要があると思っています。

柏崎刈羽視察