行政改革と独立行政法人と研究開発法人と

研究開発法人(通称、研発法人:国の研究機関)は、現在独立行政法人(独法制度)という枠組みの中にいます。橋本行革の際に移管されましたが、それは研発法人でも効率と効果で管理するべきだという理念に基づいています。しかし、爾来、あまり成果はでていません。

そして現在、研発法人の中で最先端の研究開発を行っている理化学研究所などを対象に、独法制度から切り離し、新しい研発制度を発足させようという動きがあります。先日、テレビでも放映されましたが、山本科技担当大臣と下村文科大臣がそれを要求し、稲田行革大臣と麻生財務大臣が反対。安倍総理が引き取り年内に閣僚間で調整して結論をだすように支持したところです。

私は是非別制度をとらないと、日本の科学技術はだめになると思い、1年間がんばってきました。明日の党内会議が山場の一つになります。心のそこから自分のポリシーとして、どこを守るとか守らないとかの話ではなくて、日本を世界一イノベーティブな国、つまり研究開発力が設備投資につながり、アベノミクスの成長戦略に資する、という観点で、一言申し上げたいと思います。もう日本は100から10000を生む大量生産技術だけでは生きていけない。0から1を生むところで勝負していかなければ、他のアジア圏に負けます。

一言で言えば、独法制度下で研発法人を運営せよとは、全部じゃないにせよ、2位じゃだめなんですか、と言っているのと同じことだと思っています。独法制度の元でうまく機能する研究というのは、民間が絶対にやっています。民間はそこまでばかじゃない。そして、民間の研究所のなかで、市場を創造できるようなイノベーティブな会社というのは、社長が無駄かもしれないというリスクをとって、海のもんとも山のもんとも分からないことに、投資してるんです。身包み剥がされる覚悟でやってるんです。でも身包み剥がされてもできない領域がある。それがまさに国が担う領域なんです。今の独法制度下では、日本から絶対にインターネットやGPSやは生まれないんです。

決して研発法人の全部を別法ということを言っているのではありません。しかし、本当に極一部、その一部で、ご承知のとおり、本当に最先端の科学技術を担っているんです。如何にリスクを取れるかが、日本が本当の意味でゼロからイチを埋める国になれるか、イノベーティブな国になれるかの勝負です。

逆に言えば、そういう一部の独法制度からはずれて運営できる組織があるからこそ、独法制度下の既存の一般の研発法人が生きる。全部独法制度下の研発法人であれば、さきほど申し上げた民間でできることに毛が生えた程度のことしかできないので、それこそ全部無駄。売ってしまえばいい。

だから、先端の研究者もこの結果をものすごく注目してます。実際に、自分の研究領域とは関係ない研究者、自分のところにおカネが回ってこないと分かっている研究者も、国の本気度を測るという意味で、今回の件は注目してるんです。ああ〜やっぱりな、ということになれば、日本の研究者は、どんどんアメリカに行ってしまいますよ。なぜならば、リスクをとってくれる上がアメリカにはいるからです。

もちろんそこも当然、無駄というものを徹底的に排除しなければなりません。当たり前です。事務処理やらルーチンワークに無駄があってはいけないのですが、しかし、どんな研究分野をどれだけやっていくか、という問題について、無駄か無駄じゃないか、効率性だけでは絶対に図れません。

野放図な経営になるではないかという指摘があります。考えてれば分かります。先ほど申し上げた、身包み剥がされる覚悟で運営しているイノベーティブな会社の社長が、一般事務の効率化を追求しないわけがありません。成果がでるか分からないからこそ、成果を生まなければいけないリスクを抱えれば、他を最大限削ろうというインセンティブが働く。それをチェックする機関を作ればいいのです。行革の理念とはまったく逆行しません。全てはトップのリスクテイクです。

DARPAという組織がアメリカにありますが、何年かでまったく成果がでなければトップはすぐに首になる。しかし自由度の高い予算運用ができる。だからそういうDARPAからインターネットやGPSが生まれる。もし、DARPAが独法制度下にあったら、今、スマホなんてありません。

独法制度でも効果的というのが目的だから独法制度でも効果的な研究が行える、という話もありますが、では効果的にとはどうやるんですか。効果があると分かっている研究は、そもそも民間がやってるんです。やってみないと分からないから、すごい成果がでたりだめだったりするわけです。

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