リスク(責任)を取れる社会へ=イスラエルやDARPAに学ぶ

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(写真は2030年のあるべき国家像を議論する自民党国家戦略本部の会議の様子。敬愛する同僚衆議院議員鬼木誠先生のFACEBOOKから無断で拝借しました・・・)

ということで、昨日の「リスクマネジメントとリスクテイク」の続きになりますが、どうやったらリスク(責任)を”負う”のではなく、リスクを”取って”安定成長を目指す社会への軌道に乗るのか、乗せれるのか、という議論をしたいと思います。

イスラエルに注目しています。この国の戦略は何度かこの場で触れていますし、いつか本格的に書いてみたいと思いますが、米国のシリコンバレーあたりのハイテク企業がこぞってイスラエルのハイテクベンチャーを買収するという動きが続いています。

フェイスブックはスマホ用データ圧縮管理アプリ企業であるオナボ社を買収しましたし、グーグルはスマホ用地図情報アプリ企業のウエイズ社を約1000億円という破格の高額で買収しました。アップルもIBMも、マイクロソフトもインテルも、その動きを強めています。今話題の3Dプリンタでも世界シェアトップはイスラエル企業のストラタシス。そこも米国と合併した。また別の話題のぶつからない車の車載カメラシステムもイスラエル企業(シェア9割)。スマホをパッドにおくだけで充電できるパワーマットもイスラエル企業。MS社のXboxのキネクトもイスラエル新興企業の技術。このあたりは、シャウル・シンゲルの「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業をほしがるのか?」に詳しい。

米国企業のイスラエル企業買収総額は2012年は2011年の3倍である3000億円にもなっていますので、今年はもっと多いはず。そして韓国のサムスン電子やLG電子、中国の華為(ファーウェイ)、ドイツのシーメンス、オランダのフィリップスも、同じ動きを昨年から始めています。

その心は、買収すればイスラエルに研究開発拠点を築けるから。人の流れと技術の流れのハブを世界規模でよく見ている証左だと思います。このことは、アレキサンドリア図書館のところで触れました。

http://keitaro-ohno.com/?p=33

一方で日本のプレゼンスはイスラエルではきわめて弱い。当たり前です。日本は未だにイスラエルをきな臭い国としか見ていない。資源のない国はアラブ諸国と仲良くしないといけないから、イスラエルとは付き合ってはいけない、という雰囲気が無きにしも非ずなのではないかと見ています。日イスラエル貿易はきわめて少ない。

まったく時代錯誤。時代は進んでいます。日本もイスラエルに学ばなければなりません。幸い、日本にも、サムライインキュベートの榊原社長のようにイスラエルに住んでまで学ぼうとする若き起業家がいるのは頼もしい限りです(WEDGE2014年2月号参照)。また、佐藤優さんの先見性ももっと社会に認知されるべきです(みるとす2013年3月号)。

ではなぜイスラエルは斯くもハイテクベンチャーが多いのか。私は以下のように見ています。

・資源が無い小さな国で成長するためにシンガポールがとっているようなハブ戦略は絶対にイスラエルは取れないので(ある種敵に囲まれている)、そもそも危機感が強い。

・敵に囲まれているからこそ、軍需が盛んになり、リターンを求めない先行投資が可能。

・ベンチャーキャピタルが発達している。

つまり、リスクを文化というか、リスク(責任)を取らざるを得ない環境がある。取らないと滅びるという悲しい現実があるからだと見ています。

アメリカの国防総省にDARPAという組織があります。何度も触れていますので、詳しくは触れませんが、これぞまさしくリスクを積極的にとる文化だと思うのです。だからアメリカからはインターネットやGPSが生まれる。

DARPAは最近、ロボット技術コンテストを実施した。なんと最高評価は日本に与えられた。SCHAFTという企業というか組織ですが、問題は、このSCHAFTがDARPAに認められた直後に、どこの会社がSHAFTを買収したかと言えば、グーグルです。折角の日本の技術がアメリカに吸い上げられる。まさにリスクをテイクしていく文化の有無が将来の命運を分ける構造です。

今年から、日本でもDARPAに似た構造を導入できる運びになりました。私も昨年通じて結構議論に参加させていただきました。Impactというプログラムで、550億円の先行投資を行う。私としてはまだまだ不満なところもありますが、第一段階目としては良いのではないかと思っています。

輝かしい国にしたい。

がんばっていきたいと思います。自民党で2030年のあるべき国家戦略を策定しようという組織が存在します。国家戦略本部という名前で、私もそこの主査を勤めさせていただいていますが、あるべき国家像を描き、そこからバックキャスティング手法でやらなければいけないことを策定する。私はそこに、リスクを負うのでなく、取れる社会というのを、一つのキーワードとして入れていきたいと思っています。

とにかく、輝かしい国に。

皆さん是非一緒に考えましょう!

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