産業構造の革新と法人税減税

消費税が8%になり、約2か月となります。一般生活者としてのインパクトは私自身も実感するところですが、経済に対するインパクトは予想を上回るものではなく、景気は比較的順調に推移しています。そして何度か触れていますが、この景気回復を本物にしていくためには、確実に成長戦略を実行していかなければなりません。ではその成長戦略とは何か。

規制改革と産業競争力、という話は以前にもしたのでここでするつもりはありません。これをやれば絶対だというものはないと思っています。ありとあらゆる政策を総動員して日本の活力とお金の循環を良くしていくことが必要だと思っています。

その上で私なりに注力している大物課題はいくつかありますが、その中の一つに法人税減税があります。

とにかく法人税減税をやるんだ、ということで間違いないのですが、正確に言えば物事それほど単純ではありません。政治的ムーブメントを起こすためには単純化は必要で、表面的にはそう行動することが求められましょうが、中身もちゃんと考えておかなければなりません。

第一に、何のためにやるのかという目的の問題、第二に、やるにしてもどんなリスクがあるのかという問題。そして最後の第三に、代替財源の設計という手段の問題。

第一の目的は、成長であり、立地競争力の強化です、と言いたいところですが、もう少しブレークダウンしないと見えてきません。単に対内投資を促進するとか空洞化を阻止するということだけでは見えてこないものがあると思っています。ポイントは、産業構造の革新と言ったほうがいいのかもしれません。抜本的に企業活動の重点ポイントを見直すことが、新しい企業活動のきっかけに繋がるものだと思っています。

第二に、リスクの話ですが、やるにしても当然に代替財源は必要です。なぜならば、税や財政は、財政規律に対する信用リスクが常に付きまとうからです。金利上昇リスクをコントロールできるだけの、説得力のある具体的な財政戦略と計画が必要です。

第三に、では代替財源をどうやるか、という手段の問題です。

基本原則は、第一に、目的にも書きましたが、成長です。代替財源が金額的に確保できればいいというものではなく、業種や地域の実情という水平軸にしっかりと光を当て、その水平軸の面内でバランスを取る必要がある。第二に、単年度の静的なつじつま合わせは排除し、時間軸、つまり垂直軸の中で、動的経済推定に基づく工程設計と管理が必要です。

この水平軸と垂直軸の中でバランスをしっかりと確保することを考慮して、よく言われる外形標準課税や欠損金繰越控除制度、租税特別措置の見直しなどを行う。その際、なるべく簡素な税制にするべきです。これによって、本業で頑張る企業と、国際市場で富を稼いでこれる企業の後押しをすることです。

外形標準課税などの課税ベースの拡大を行っても、法人税減税分との差が景気回復による売り上げ増でカバーして余りあるような、つまり、中小企業がエビで鯛を釣れるだけの具体的な税制設計にしなければ、実行は困難です。あるいはエビがなくても鯛が釣れる税制設計になるよう努力しなければなりません。租税特別措置の中には歴史的な役割を終えたもの、あるいは終えようとしているものもあります。しっかりと議論しなければなりません。繰越欠損金制度についても、必要な制度ですが、あまりに欠損会社が多い。産業の新陳代謝の問題もありますから、しっかりと実情を把握し、内容を精査して、見直すべきは見直さなければならないと思います。

複雑な税制になっているため、営業活動や製品開発に心血を注ぐより節税対策に心血を注いだほうが収益が上がるということではいけない。本業でがんばる企業が報われるという社会を実現すべきです。

いずれにせよ、繰り返しになりますが水平軸と垂直軸の中で、具体的な戦略と工程表と推計を作るべきです。

なお、企業の内部留保について、よくある勘違いが法人税減税によって大企業の内部留保がさらに増えるだけに終わるというもの。現在の景気回復の最大の関心ごとは企業の設備投資を喚起することであって、法人税減税で浮いたお金のうち、内部留保に回るものの一部は設備投資に向かいます。というか、向かわせるような政策を打っていかなければなりません。いずれにせよ内部留保とは決して全てが企業が懐に持っている現金預金ではありません。

資産効果もありますから最低でも30%以下の法人税実効税率を目指すべきだと考えます。

法人税減税については有志の議員で勉強を重ね、麻生大臣や菅官房長官などに申し入れております。

DSC04698

カテゴリー: オピニオン, 経済財政金融 この記事のURL