人口減少問題と地方

今更な感じも否めませんが、改めて人口減少問題について触れておきたいと思います。

そもそも誰もが意識しながらほとんど誰も危機感を持ってこなかった問題ですが、私が初当選して直後のアベノミクスが持てはやされはじめてから、20年後30年後の未来予想を論じる書籍が目立つようになり、その流れで私も主査を務める自民党国家戦略本部でもたびたびこの問題を取り上げ、最終的に元総務大臣の増田先生が昨年末に論文を発表してから国民全員の共通した中長期的課題となりました。

現状認識

・出生率は最悪の1.26から1.41に回復したが、出生数は最悪を更新。出産適齢期の女性の数が減少しているため。ただちに出生率を2以上にできたとしても人口が安定するまでには1〜2世代以上かかる。

・高齢化と言えども高齢者人口は2040年にピークとなる。地方のピークはもっと早く、自治体によってはすでに高齢者人口もピークになっている。現役世代は団塊世代のリタイヤにより劇的に減少。

・若者が雇用などを求めて地方から都会に移動する。都会はそもそも出生率や結婚率が低いため、事態を悪化させている。

・地方は人口減少が著しく、そのため産業生存確率が低下する。例えば高齢者のための医療や介護現場が少なくなるが、そうした施設は若者の雇用環境を悪化させ、若者はますます都会に移動する。

・価値観の変化と将来不安によって子供をもうけることに躊躇する場合が多い。

・人口減少した地方は、住民1人あたりの行政コストが低下し、財政状況が悪化する。なんら対策を打たなければ2040年には半分の自治体で行政運営に支障をきたすという報告もある。同報告では、出産適齢期の女性人口も半分の自治体で半分になる。

・地方が存続できなくなるほど疲弊すると、都会への人材供給源が断たれ、都会も将来的には活力が失われる。

・同時に都会は急速に高齢化が進み、行政コストが増大する。

考えられる対策を大きく2つに分けると、人口を減少させないことと、人口減少という現実を直視して対策を立てること。

第一に、人口減少を食い止める努力については、今般、政府の骨太方針でも示される予定の出生率改善策を目標に掲げあらゆる政策を講じることです。目標は、2030年までに徐々に出生率を2にできたとして2060年頃に人口を1億人程度で安定させることができるというもの。

具体的には、

・結婚・妊娠・出産・育児のすべてのサイクルで必要な支援をこれまで以上に行うことです。特に私は以前から申し上げていますが、第三子以降の出産に対して重点的に支援することが奏功すると考えています(例えば第三子には年間100万円支給など)。

・年金制度は確実にマンデートを実行すると同時に、医療介護制度についても安定した制度に改革し、若い世代の将来不安を払しょくすることも大切です。マイナンバー制度により効率的な社会保障制度の運用も可能になるので新しい視点で設計することが必要です。カフェテリア方式の社会保障制度も推進していく必要があります(自分で選ぶ保障・使わなければ使わないほど得する保険)。

・そもそも自信を取り戻すための教育改革を継続して断行することも忘れてはなりません。

・家族制度を見つめなおし、根源的問題である核家族化を回避するため、例えばN分N乗税制なども真剣に検討することも必要だと考えます。ポイントは、トータルで減税措置ではないこと。小家族ほど負担が増え大家族ほど負担は減る。一緒に住んでいなくても近くに住んでいればいいなど運用を考えられないか。

第二に、人口減少が現実のものであると直視することです。

具体的には、

・地方はコミュニティーデザインから始めなければなりません。効率のいい行政運営と産業活性化のためにコンパクトシティー構想の進化バージョンの構造を全国で展開すべきです。一次産業から三次産業までトータルに考えた土地利用を考えなければなりません。

・地方の産業政策を戦略的に再構築すべきです。地方のお金をしっかり地方で回し、地方が自ら世界と戦える構造を構築し、地方独自の明確な産業戦略に基づくものならインフラも今のうちに整備すべきです。その際、新しい資金調達方法も大胆に導入すべきです。

・外国人材の活用も慎重に丁寧に議論すべきです。戦略なき移住には反対ですし、なんでもかんでも外国人材を導入することには私は慎重ですが、一定の基準と範囲でならば議論をすべきだと考えます。

・都会に必ずしもなくてもよい産業は積極的に地方に移転することを検討すべきです。例えば大学など、産業とは言えませんが、必ずしも大都市になければならないわけではありません。また、大学自体については、例えば海外の著名な大学の分校か講座を地方に誘致することも考えるべきです。若者が地方で就職する際のステータスを与えることも大切だと思います。

・世界の人口は増加すると予測されています。富を海外から稼ぐ、いわゆる国際収支構造が悪化していますが、死活問題であるため、あらゆる施策を講じて改善する努力を行わなければなりません。私はいくつかある施策のうち、現在は法人税の議論と航空政策の議論に積極的に参加しています。

少し散文的に書いてしまいましたが、そのほかまだまだアイディアは無尽蔵にあると思います。これから年末にかけてしっかりと議論してまとめていきたいと思います。

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