【善然庵閑話】最愛の大地

国際政治の狭間のなかで、女優のアンジェリーナ・ジョリーが国連の臨時大使をつとめるなど、幅広く活躍をされています。私は映画好きに属する人種で、今は残念ながらほとんど見れませんが、これまで彼女が出演する作品には数えきれないほど接してきました。先日、彼女の初監督作品「最愛の大地」のトレーラと本編の一部を見る機会がありました。

この映画は、ボスニア・ヘルツェゴビナの紛争を描いた作品ですが、彼女の最大の訴えは、民族対立による内紛などで一般人に甚大な被害が発生した際の国際社会の介入の在り方、そして紛争下の性暴力根絶を、視聴者が深く考えるきっかけになれば、というものでした。

結論から書けば、この2つのテーマは非常に重要な問題で、日本人一人ひとりが深く考えなければならないものです。前者は、集団安全保障の在り方、後者は昨年国連で採択された紛争下の性暴力根絶行動宣言に直結する話です。

第一の集団安全保障の問題は、目下話題になっている集団的自衛権の限定行使解禁というレベルの議論ではなく、世界でどのような肌感覚で紛争が起きているのか、ということを理解しなければならないという問題です。例えばこのボスニア・ヘルツェゴビナの紛争はジェノサイドが発生した。結局NATOが介入して停戦合意に至りましたが、介入までに長い時間を要している。その間に甚大なる被害が発生したというのが彼女の訴え。私自身も随分昔から考え続けている問題です。そして私はこのことについては、国益とは何かという議論から始めなければならないと考えています。

第二の紛争下の性暴力根絶の話は、私自身、今年に入って躊躇した経験を持っています。今から数か月前に、是非当該問題について意見交換したいとのお申し出が英国大使館からあり、参加したときのものでした。もちろん根絶すべきだと思ってきましたが、実務となると、どこか日本には直接関係ない話だと無意識に思っていたんだなと改めて認識しました。

世界にはまだまだあり得ないほどの悲惨な現実が存在している。イラクもしかり。そしてアフリカもしかりです。日本ができることはなにか、日本がすべきことは何か、そしてすべきでないことは何か、一人一人が考えるべき問題です。

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