国際金融の世界で起きていることーBRICS銀行とAIIB

先日9日、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)の首脳会談がロシアのウファで行われました。取り上げられた議題の1つに、新開発銀行設立(BRICS銀行)がありました。

新開発銀行は、新興国や途上国のインフラ整備のためのものとされ、AIIBと連携するものであること、出資比率は参加国それぞれ100億づつの合計500億でスタートすること、などを軸とするものですが、本質は、AIIB同様、欧米国際金融体制に対抗するものであるという見方もあります。

そもそもAIIBがあるのになぜBRICS銀行という話になったのかと言えば、おそらく中露のギリシャやインドを含めた国際政治的な思惑が背景にあるものと思われます。例えば、ロシアとギリシャの急接近は有名ですが、AIIBではロシアはそれほど幅を利かせられないのでBRICS銀行でギリシャを誘っているという見方ができます。それ以外でも、中露はSCO(上海協力機構)でも欧米対抗基軸を打ち出しているようにも見えます。インド・パキスタンの正式加盟を認めるなど、ロシアは旧来からの友好国であるインド取り込みも積極的です。ロシアとしては、インドを取り込めば中国の影響力のカウンターバランスになるとの思惑も見えてきます。中国にしてみれば、BRICS銀行強化がAIIB体制強化にもつながるとの思惑が見えてきます。結果的にロシアもハッピーということです。

しかしその延長線上の遥か先には、例えば米ドルが基軸通貨じゃなくなる日というのも想像が全くできないわけではない。そうなることは日本にとって国際金融秩序のみならず国際政治秩序としても良いことではないはずです。そういう文脈で捉えれば、BRICS銀行は置いといても、設立と運用のポリシーが根底から異なるAIIBに日本が参加してAIIBの信用力を決定的に高めてしまうよりも、お互いに相補関係になるべきではないかと思っています。