ドイツと難民問題について

フランクフルト市幹部

僅か7時間の滞在でしたがドイツのフランクフルトを訪問。ドイツ連邦上院議長兼(フランクフルト市のある)ヘッセン州首相のフォルカー・ブフィエ氏(H.E. Mr. Volker Bouffier, President of the Bundesrat)にお目にかかる幸運に恵まれ、また州首相府次官ヴァインマイスター氏と難民問題に関する議論、そしてメッツラー銀行パートナーのゲアハルト・ヴィースホイ氏とは、日独産業交流について議論して参りました。

まずヴィースホイ氏から。前外務副大臣でドイツに通暁されている城内実先生からご紹介頂いたのがきっかけで実現した会談で、同氏は日本滞在経験もあり奥様も日本人、安倍総理とも何度かお会いになられている大変な知日派で、日独の産業交流に尽力されている方です。私から現在の日本の経済の問題と取り組まなければならない課題を申し上げました。ずばり中小企業政策をマクロの観点にどうやって引き上げるのかが私の関心ごとであって、地方創生のツールでもあるRESASを紹介しつつ、サプライチェーンの再構築を海外も含めて地方や中小企業が本質的に取り組む必要があって現在進行形であることについて申し上げました。

ドイツ財界代表

ヴィースホイ氏からは最近は日本の中小企業の欧州中心とした海外進出をサポートされており、具体的な成功事例も交えて非常に示唆に富むお話を頂きました。話は難民問題にまで至り、ミクロの問題は多々あるものの、人道的観点はもちろんのこと、ドイツ国民にとってもマクロ経済の視点でみて財政出動による景気浮揚策とも言えるし人口減少対策とも言えるとして、非常に好意的に捉えているとのことでした。

続いて次官との会談。街中の雰囲気はどちらかというと懐疑的な雰囲気を感じますが、難民受入に対して地方政府はどのような戦略を持っているのかは非常に興味深いところでしたので、州首相府次官にその点をお伺いしました。

端的に言えば、リアルタイムで発生している短期間に大量の難民受入という現場対応と、EUの骨格まで変えてしまいかねない戦略対応対処は、やはり同時に扱うことは現実には困難なようで、「とにかくヘッセンにも3000人の泊まるとこがない人がいるんです」という次官の言葉が印象に残りました。現場では文化と宗教的問題が顕在化しつつあるようで、すんなりはいかない問題です。

一方で、日本に期待することはと伺ったところ、今の政策は高く評価しているし、そのまま続けて欲しい、特に日本のUNHCR支援強化について感謝しているとのお言葉。難民は、祖国に近いところで安心して暮らせる場所を確保するのが最大最上の支援なので、そうした支援が中長期的に最も重要だとおっしゃってました。

いろいろと考えさせられる問題です。