自民党衆院香川3区候補者公募応募論文

はじめに

1991年の冬。暖房の効いたいつもの部屋のテレビ画面から、どこか異国の夜空に、くすんだ緑色の閃光が走る映像が流れてきたことを、私は未だに忘れることができない。湾岸戦争のその衝撃から、国家とは何であるのか、国家とは国民に何をしてくれるものなのか、真剣に考えるようになっていた。吐露すれば私の政治の原点は国家感そのものであった。

先憂後楽。11世紀前後の宋の時代に生きた范仲淹(はんちゅうえん)が政争に明け暮れる北宋にあって、為政者の心得として残した言葉である。曰く「天下を以て己が任となし、天下の憂いに先んじて憂え、天下の楽しみにおくれて楽しむべし(皆に先んじて天下を憂い、楽しみは皆の安楽を見届けるまで慎むべし)」と。私はこの言葉と共に生きて行きたいと心から願っている。

主張は清くありたい

永田町では種々の政策が審議されているが、その調整過程であまりに無益な政争を続けてきた結果、政治不信だけが残っている。非常に深刻な問題であるが、その問題の本質は、政治が本当のことを語らない、あるいは語っていないように見えることである。選挙があるからと必要な政策を曲げる、敵がやることは全否定する、するといってしない、しないといってする、パフォーマンスを優先する、など。

戦術は戦術としてあってしかるべきだが、込み入った戦術が衆目の前にさらされたときに、嘘をつくよりも、掲げる理念を正々堂々と語っていくべきではないか。政治が国民を信用できずして、どうして国民からの信頼が得られるのか。私は桜という日本の国花が大好きであるが、やるべきことを訴え、常に謙虚に真摯に大胆に、それで散るならばさっぱりと散りたいと思っている。

政治は具体性である

他人批判ばかりの政治とは決別しなければならない。我々国民が望むのは、あの坂本竜馬の時代に生きた若き志士達の口角泡を飛ばす熱き議論ではないのか。そのためには、何よりも政治には具体性が必要である。政治とは情熱を理性によって具体的政策に変換するプロセスであり、その情熱は皆様から頂く愛情だけが原資であると信じている。愛情なき政治は荒廃し、情熱なき政治は継続せず、そして理性なき政治は破綻する。政治が自ら襟を正し範となり、私欲を捨て公欲に没頭し、政治を必要としている人に具体的政策をお届けすることが本旨であると信じている。

あるべき国家像を示そう

精神論だけで日本が置かれた危機的状況を打破できるとは思わない。日本は現在、少子高齢化という構造的根本問題を抱えており、財政構造ばかりか労働人口の減少を通じて経済力も悪化、それと相俟って外交力も低下し、現実の力の国際政治から取り残されている。国家とは何か、あるべき保障制度と財源の議論を尽くし、新しい時代にあった憲法に改正し、毅然とした国家にならねばならない。人を育てる教育改革、食を守る農政改革、健全な財政、東日本大震災復興も残されている。焦眉の急を告ぐ課題は実に多岐に亘っている。

平和と繁栄を享受しつつ、国際社会から信頼されるに足る、輝かしい国家となるためには、これらの多岐に亘る政策課題を手段と目的に峻別し、優先順位を定め、主軸を定めて国家目標とし、政治がメッセージとしてその国家目標と断行する意思を示さねばならない。

まずは安定的経済成長

その主軸とは何か。まずは景気対策ではないか。安定的経済成長は全ての政策に正相関をもつ。最も根本原因の少子化対策を講じ、社会保障を含めた既述の諸制度改革を同時並行して進めるべきは論を俟たないが、経済の安定成長が当面の国家の主是であることを今一度再確認すべきである。

新しい成長モデルを創造するために大胆に地方分権を推進し、さらに明確な産業戦略に基づいた将来価値を生む領域への投資を積極的に行い、同時に荻生徂徠や高橋是清も驚くほどのリフレ政策を断行すべきだ。外需喚起も必要だ。目指すべきは貿易立国である。カネでカネを儲ける金融立国は日本の目指す方向ではない。個別的経済連携を積極的に推進しなければならない。

人間こそ国家の宝

作家の塩野七生は、古代ローマ衰亡の遠因の1つとしてカラカラ帝が行ったアントニウス勅令による帰属意識の崩壊と人材流出を挙げている。日本を見渡すと、核家族化や終身雇用制の崩壊などによる労働意識の変化により帰属意識が失われ、自分さえ良ければという義務や責任の伴わない不健全な自由主義が横行しており、日本の美徳とされてきた伝統文化や道徳的アイデンティティが大きく問われている。政治が具体的政策を語る上で常に腹に持つべき事がある。それは、人間愛であり、ふるさと愛であり、愛国心である。この哲学があれば如何様な政策も間違うことはないはずである。

以上が私の所信であり、目指す政治像である。

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