防衛計画の大綱の議論

防衛計画の大綱

政府には、中長期の戦略を示す文章がいくつかあります。エネルギー政策であればエネルギー基本計画、科学技術であれば科学技術基本計画、海洋政策であれば海洋基本計画。沢山種類はありますが、防衛にも防衛計画の大綱と呼ばれる戦略文章があります。今年、その新しい基本計画の策定作業を進めており、自民党から政府への提言書を纏める作業をする会議に出席しております。

私の問題意識は多岐にわたりますが、主要なものだけを書けば次のものです。

第一に、ここが本質論ですが、自衛権と警察権のギャップを埋める作業が必要なこと。例えば、尖閣諸島近海に中国の公船が出没しておりますが、直接的に取り締まっているのは海上保安庁。で、海保が装備面で対処不可能と判断されれば海上自衛隊が対処する。でも海上自衛隊が領海警備できるのは海上警備行動が発令された場合のみ。で、それは警察権(市中の警官と同じ法理に基づくもの)の範疇です。撃ってこなければ撃てない、となれば、ずるずると、のうのうと、無害でない外国船舶が日本領海に入っていても、「出て行け〜」と騒ぐことくらいしかできない。では、もっとシビアに交戦状態の宣言をすることはできるのですが、これは防衛出動と呼ばれる自衛権の発動。でもこれは鯉口を切るようなもので宣戦布告のようなものになってしまう。この間があまりにも溝が大きすぎるのです。この間をなんとか埋めていかなければなりません。領海警備法の制定とかいろいろ言われていますが、名前は何でも、しっかりと提言していかなければならないと思っています。

家の玄関を開っ放しにしておいて、泥棒に入られたと嘆くのではなく、鍵を3個も4個も付けて、泥棒に事前に諦めてもらうことが必要なのです。これが私の今回の防衛大綱の主要なテーマだと思っています。ですから、策源地攻撃能力とか自衛隊オスプレイ配備検討とかはメインではありません。

第二に、海外へのメッセージ。今、諸外国から右傾化という言葉で懸念が広がっているやに報道では見受けられますが、なぜ日本が憲法改正や安保関連法制の整備に注力するのかを丁寧に謙虚に書く必要があると思っています。何度もブログで書いていますが、戦争は絶対にダメなんだ、平和を誓い希求する精神なんだ、ということをしっかりと伝えなければなりません。言葉でしっかりと伝えなければ、思っているだけでは海外はもちろん国内にも伝わりませんから。

なんで鍵を3個も4個もつけたのか、近所にいぶかしげに見られる前に、いや〜最近泥棒が多くなったのでね、と説明しておかなければなりません。

第三に、これは科学技術イノベーションのテーマでもありますが、サイバーテロや安保に資する宇宙開発を、安保分野から模索しなければなりません。それには、安保会議と、科学技術の司令塔である総合科学技術会議、そして宇宙は宇宙開発戦略本部、サイバーテロはIT総合戦略本部など、種々の科学技術系の司令塔機能が連携していかなければならないというテーマです。

鍵を3個も4個も折角つけるのであれば、泥棒が見たときに、あ〜これは最新の鍵だね、太刀打ちできないね、と感じる鍵でなければ意味がありませんから。

 

 
カテゴリー: オピニオン, 外交安保 この記事のURL