新年のご挨拶

癸(みずのと)の卯年の新しい年を迎えました。謹んで新春のお慶びを申し上げます。皆様には日頃より一方ならぬご厚情を賜っておりますこと、心から厚く御礼申し上げます。

今年はいよいよ癸年、十干十二支のうち十干の最後の年となりました。大地を潤す恵みの水で、次の新たな生命の胎動を意味するそうですが、思えば昨年は何かと暗い話題が多かったように思います。今年こそは、皆で力を合わせて支えあい、皆様にとって良い年になることを、心から願っております。私自身も、そうした環境づくりに邁進し、皆様に新しい胎動を感じて頂けるよう、正しいと思うことを正しくやって参りたいと思います。

ところで卯年で思い出すのはミッフィーですが、ミッフィーと言えばオランダ生まれ。しかしオランダが生んでいるのはミッフィーだけではなく、世界最先端の半導体製造には欠かせない極端紫外線露光装置を生んでいる唯一の国でもあります。産業のコメとも言われる半導体。供給不足に世界が悩まされていますが、その生産体制自体を抜本的に見直そうという動きが世界中に広まっています。日本も現在不足しているタイプの半導体の国内生産拠点の整備とともに、改めて最先端半導体の生産拠点整備に乗り出しています。

日本の半導体は一昔前では破竹の勢いで世界市場を席捲していましたが、リーマンショックがあった10年以上前に最先端分野から離脱をしました。それまでは、世界中の多くの先端半導体メーカーは自社で設計はすれども、生産は中国や台湾などに委託をしていました。しかし徐々に委託を受ける側の企業が大きくなり、製造技術を向上させ、そこがなければだれも製造できなくなってきたというのが事の本質です。逆に言えば、10年前に生産技術がカギを握ることを認識していれば、撤退敗退と言われるようなことにはなっていなかった筈です。

半導体分野でトップランナーへの復帰を目指す実質的なスタートを切るのが今年です。日本という国は、これまで世界一を目指し、泥と汗で額を汚し、実際に技術開発という戦いの場に立って勇敢に努力し、努力につきものの過ちや失敗を繰り返し、敗れて批判にまみれても、誰に頼ることなく毅然と戦い続けた人たちがいたからこそ、成り立ってきました。

半導体だけではなく多くのモノやサービスの分野で、真の勇者が多く立ち上がろうとしているのを実感しています。真の勇者には最大のエールを送る覚悟が日本には必要です。今の日本に必要なのは、構造的賃上げを伴った価格転嫁です。すなわち賃上げによる人件費を含めた価格転嫁が必要です。その上で財政や金融政策によってカバーすることが必要になります。今年こそという思いをもって今年をスタートいたします。

最後になりましたが、皆様にとって今年一年が素晴らしい年となりますよう祈念申し上げ、またそうなる環境を作って参りたいと思いますので、今後とも引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。