新年のご挨拶

甲(きのえ)の辰年の新しい年を迎えました。皆様方には一方ならぬご厚情を賜っておりますことに、改めて心から厚く御礼申し上げます。

甲辰は、十干の最初の年であって大木のように圧倒的優勢の意である甲と、十二支のうち唯一架空の動物であって縁起が良く力強い躍動の意である龍が含まれ、大きな動きとともに勢いよく活気にあふれる時代の最初の切っ掛けとなる年であるといわれています。

昨年末は政界が大揺れに揺れました。派閥の政治資金パーティを巡り、裏金やキックバックが明らかになり、2つの派閥事務所に強制捜査が入るという前代未聞の事態となりました。私は無派閥であって事態の情報を正確に知り得ませんが、派閥資金の運営責任を負っていた者には猛省を促したいと思うと同時に、自民党の体質ではないかとの疑いがかけられ、厳しい目が向けられている今、私自身、党の一端を担う者として大変恥ずかしく、特に党を信じてくださっていた皆様には本当に申し訳なく、心からお詫び申し上げる以外に言葉が見つかりません。

ただ、詫びて済む問題ではありません。襟を正すなどという精神論では何も解決しません。政治自らが浄化する仕組みを作らなければなりません。政治資金パーティを巡るかかる事態が発生する理由は簡単で、その本質は現金やり取りにあります。巷では全部公開すべきとの論が溢れていますが、現金やり取りがある限り、公開する前に裏金を作れてしまえば意味はありません。現金授受を禁じ、法的監査人の監査実効性を確実なものにすれば、裏金を作ることは実質不可能なはずです。監査人と結託していれば重罰に処す。いずれにせよポイントは法定監査人の監査実効性を確実なものにすることが重要です。

もう一つ残念なのが運営です。国家を運営しようとする者が政治家なのであれば、あらゆる事態に適切に対応するのが当然で、それが失敗しようが成功しようが、関係者に見通しを示すべきです。スキャンダルであろうが大規模災害であろうが、現状報告と当面の対処方針発表は初動で行うべきで、スケジュール感を伴って原因究明や背景説明、責任表明や再発防止策発表を行うべきなのが通常です。ガバナンス自体を強化しなければなりません。

いずれにせよ政治の停滞は日本の停滞に繋がり、日本の停滞は国際社会の秩序劣化に繋がります。昨年までの数年を振り返ると、コロナが収束したかと思えば、ロシアによるウクライナ侵略やイスラエルに対するハマスのテロ攻撃、加えて中国による経済的威圧や軍事活動の活発化など、国際秩序の劣化が深刻化しました。

国際秩序の劣化と言っても昔とは様相が相当変わり、伝統的な武力という力による一方的な現状変更の試みもあれば、レアアースなど戦略物資の輸出制限や水産物の輸入制限など、昔であれば安定化に寄与すると言われた経済的な相互依存を武器化する時代となりました。国際秩序のモデルは相互依存から勢力均衡に戻り、世界は安定化のための新たな力を求めるようになりました。本来それは、国連という国際世論による民主主義の力であるべきが、完全に機能不全に陥っています。安保理というシステムと覇権主義国家の存在が主な理由ですが、国ごとの考え方の違いもあります。

例えば辰(龍)のイメージ一つとっても、東洋と西洋では大きく異なります。西洋で信仰される新約聖書のヨハネ黙示録には、天使ミカエルに退治される赤いドラゴンが登場しますが、大気を乱して嵐を引き起こす悪魔の象徴サタンとされ、映画「ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリーポッター」でも秩序を乱す存在として扱われています。一方で東洋では、雨や水を司り強力な運気上昇をもたらす崇め奉るべき存在とされ、映画「千と千尋の物語」や「ゴジラ」でも少なくともサタンでは決してなく、人間の心を理解し誤りを正すか諭す存在として扱われています。地元仁尾町でも、雨ごい伝統行事の竜祭りが長らく地域に親しまれています。

しかし属する国や地域が異なっていても、人類は自らの力で物事を俯瞰的に考えるべきであり、普遍的な価値を求めて更なる高みを目指すべきです。その意味で、甲辰の今年こそ、国連は抜本改組が必要ですし、できなければそれに代る新しい国際機関を作ってでも、圧倒的な力によって紛争を抑止できる国際システムができる切っ掛けの年にしていかなければなりません。

最後になりましたが、皆様方にはご厚情を賜っておりますことを心から感謝を申し上げ、今後とも引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げつつ、皆様の益々のご隆盛とご活躍を心からご祈念申し上げます。