学校法人に寄付をされた方もいらっしゃると思いますが、寄付をすれば所得税の特別控除を受けれます。ところが、これには条件があって(PST要件)、寄付金の収入額が学校法人の経常収入金額の20%以上か、または3000円以上の寄付者数が年平均100人以上の学校法人が対象の場合ということになっています。規模の小さな学校だと前者は難しい。後者も難しい。だから難しい。
このPST要件が昨年の税制改正要望で緩和され、先日閣議で決定されました(対象は学校法人・準学校法人・学校等を設置する社会福祉法人)。施行されることを強く望みます。
新しい要件は、20%要件は同じですが、人数制限が大幅に緩和され(本当は撤廃してほしいけど)、但し書きとして、収容人数が5000未満の場合には、定員÷5000×100人(最低10人)でかつ合計寄付額が30万円ということになりました。つまり、例えば小さい学校法人(500人以下)であれば寄付者10人寄付合計額30万で控除が受けられることになります。
幼稚園であれば全国の99%が500人以下、小学校では77%、中学で75%、高校では28%ですが、1000人以下は71%です。
現行制度の問題は何かと言えば、例えば幼稚園などは園児100人くらいのものが多いので、そこに100人毎年寄付があるとは思えないので、寄付はなかなか進まない。幼稚園など大規模法人しか寄付控除適用されない。また、なぜPSTなんかあるのかと思ったら、学校法人が寄付を募る努力もしないのに控除なんかできないというのが当局の理由であったそうな。
そもそも寄付集めに頑張るから控除するという発想自体に私は違和感を覚えます。寄付は個人の自発的行為に依拠するものであって、実態は別としても理念的には学校側からの依頼に基づくものではないはずです。寄付して頂けるほど子供にとって魅力的な学校にする努力は政策的に促すべきですが、そもそも寄付自体にハードルを課しておいて寄付が少ないとして魅力づくりの努力を阻害するのは違和感を感じます。魅力あるところは寄付がどんどん集まってより魅力ある学校法人になるのが理想ではないかと思います。
学校法人だけではありません。他にもたくさんあります。例えば大学。そして国立研究開発法人。そもそも認められていない。面白いのが、衛星のはやぶさが一世風靡をし映画もたくさん作られたのは記憶に新しいですが、寄付が結構集まっているそうです。また、iPS細胞のノーベル賞受賞者山中先生のところにも集まっているとのこと(それぞれの努力も当然あります)。
善意のお金を回していく。それを公共に集める。税ではない。寄付文化の醸成をしていかなければなりません。アメリカでは、そもそも大富豪が多額の寄付をする。私もお邪魔した大学にはビルゲイツホールというのがありました。ノーブレスオブリージュの発想にもつながります。古代ローマでも、個人が私費を投じてローマに通じる道を創りました。アッピア街道などです。イタリアでは、近代以降になっても、この文化は生きているのか、民間の銀行か投資会社だったと思いますが、社会貢献の一環として、フィレンツェからシエナに行くスーパーストラーダ(無料の高速道路)を建設しました。