自民党の政務調査会(政策議論をするところ)に刑務所出所者等就労支援強化特命委員会という会議体が設置されています。要は、2020年のオリンピックに向けて、世界一安全な日本を創り上げることを目標に、平成25年12月に「世界一安全な日本」創造戦略が閣議決定され、その戦略の一つの柱が、再犯防止対策。で、私はこの会議の役員ではありませんが、党所属の香川県選出全国会議員で地元にある刑務所と更生保護施設を視察し、地域の保護司の先生方との意見交換などを通じ、課題抽出してまいりました。
私も全くの門外漢であるので、初めに全体像をまとめておきたいと思います。刑務所の出所者は全国で26000人(内55%が仮出所、45%が満期出所)。内、再犯再入所者は60%。満期出所者の55%が帰る場所がなく、帰る場所がない出所者の60%が1年未満で再犯再入所となっています。もう1つの切り口が、仮出所者の30%が帰る場所がなく更生保護施設に入っており、結果的に仮出所者が更生保護施設利用者の70%を占めており、残り30%が満期出所で更生緊急保護か執行猶予などで利用している人なのだとか。
結果的にどうなるかというと、とにかく帰る場所、居住を確保することが重要であって、更生保護施設も職員体制強化などを行っていかなければなりません。矯正施設である刑務所も全国的に老朽化が進んでおり(全国297施設のうち63施設が旧の耐震基準すら満たせていない)、矯正医官も不足しているという状況が続いています。
高松刑務所の状況ですが、奈良と並んで全国でも老朽化が最も進んでいる施設の一つだそうで、建て替え予定の施設を抱えるものの、実行が伴っておらず、施設の南側1/3はほとんどが昭和40年代に建物で、特に医療棟・外壁(土塀)・被告人用入所棟の整備を急ぐ必要を感じました。雨漏り・畳のカビ・壁表面崩落・電気ケーブルむきだしなど。外壁は近隣住民にとれば災害時崩落等の不安もあろうかと思います。
更生保護施設については、施設自体の喫緊の大きな問題は見当たりませんでしたが、将来の建て替え資金を担保する制度がなく不安を抱えながらの運営であって新規スキームを考える必要を感じました。
また、運営について、現状は利用者人数に応じた交付制度になっており、人件費や事務所費等の固定費について別途予算化されていないので、利用者拡大の努力は常に行っているとのことでしたが、固定費の一部は別途予算化する必要を感じます。また、過去に(3年前程)委託費自体が交付されない年もあったとのことで注視していく必要がありそうです。
保護司の先生方との意見交換を通じて感じたのは、保護観察官自体の人数が足りてない、運営費が常に窮乏している、実費弁償さえ実態としては100%に届いていない(単価問題)、協力企業への出所者受け入れ奨励金が少ない(裏返せばかなり効果のある事業だという認識)などです。地域定着支援センター(再犯率)も重要です。