2度目の米朝会談と韓国

2回目となる米朝会談が行われました。事前の調整が不調に終わっていたため、あとは首脳間の話、ということになっていましたが、トランプが非核化を急いではいないと事前に発言したことなどから、ウルトラCでもない限り、合意は困難であろうというのが大方の見方でした。したがって、今回の結果はそれほど大きな驚きではありませんでした。

ただこの常識感がストレートに通用しないのが今のアメリカ。そもそも会談をセットできる段階ではなかったはず。それでもすると言うのは余程国内事情的に成果が欲しいのだと一般的には映ります。今回、妙な驚きがなかったのは、ボルトン補佐官が正しいことを言い続けたからなのであろうと言う見方が多い。とある民主系の方がボルトン氏(伝統的には最も民主から遠い共和の人)を評価していたのが印象的でした。従って、今後も不安定で注意が必要だと言うのが一つのポイントです。

次に以前もこの場で交渉は長期化するはずだと書きましたが、北朝鮮は核兵器等を段階的に放棄することで制裁解除と経済支援を引き出そうとする一方で、国際社会は完全な非核化を求めています。北朝鮮がミサイルや核の実験もしくは拡散につながる移転をしなければ、長期化することで困るのは本質的には北朝鮮です。

問題は北朝鮮が頼っているのが韓国に見えること。先のレーダー照射などの一連の事案の韓国の不自然な動きも、文寅在大統領の発言も、どうも北朝鮮シフトしていて朝鮮半島統一が最大のプライオリティになっているとしか思えません。そう考えると、米朝会談の長期化は、結果的に文寅在大統領にとってメリットに映っているかもしれませんが、韓国にとっては国際社会から孤立化する可能性が高くデメリットなはず。すでに韓国は一部の領域で北朝鮮を支援し始めているとの見方もあり、仮に事実だとすれば、国連決議違反ですし、それ以上に、交渉中の米国にとっては望ましくなく、米朝会談の現実を困難にさせているとも言えます。

こうしたことが背景なのか、米国では、この韓国の動きをけん制するかのような動きが加速しています。
2019.2.14 Washington Post:Congress sends a warning shot to Moon and Trump on North Korea
2019.1.12 産経新聞:米国の微妙な韓国疲れ
2019.2.14 日本経済新聞:米議会、日韓関係の改善促す決議案 超党派議員が提出

日本から見るとここ最近の韓国の外交は極めて遺憾ですがそれ以上に不可解です。少なくとも、非核化が見えるまでは北朝鮮に対する制裁は継続されるべきであるし、国際社会に対してこれまでの路線を変えないように団結を求めねばなりません。これが第二のポイントです。

完全な非核化が可能なのかという議論もあります。日本経済新聞がとても分かりやすいサイトを開設していましたので紹介します。

2019.2.22 日本経済新聞:北朝鮮マップから見る遠い非核化

米朝会談では、北朝鮮から寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄が提案されたとの報があります。内情は全く承知していませんが、では降仙(カンソン)はどうなるのか。運搬手段であるミサイル発射場はどうなるのか。核実験場はどうなるのか。遥かに広大な意識のギャップが国際社会と北朝鮮の間にはあるのが分かります。しかし、急ぐがあまりに過去の繰り返しになっては何もなりませんし、寧ろ北朝鮮がアメリカまで届く核攻撃手段を持ちうる能力を持った今、最後の砦と思って対処しなければならないのだと思います。