コロナウイルス感染症に関し、まだまだ予断を許しませんが、1日の新規感染者が指数関数的に増加する深刻な状況は免れています。全員で歯を食いしばって耐えている結果なのだと思います。
一方、経済状況が心配でなりません。昨年から指摘しております通り、コロナウイルス感染症の影響がなかったとしても、今年の世界経済動向はそれほど明るいものではありませんでした。そこにきてコロナです。財政政策、金融政策を中心に、総動員して対処していかなければなりません。規模も重要です。
先週末の6日、麻生財務大臣は記者会見で、コロナウイルス感染症の影響による事業者の資金繰り支援として、民間金融機関に対して、踏み込んだ要請をしたと発表しました。一言で言えば事業者支援を迅速・適切・丁寧に実施することなのですが、現場の営業担当まで徹底すること、不必要な書類を事業者から求めないこと、そして貸付条件変更の申請数や変更実施数、謝絶数の報告も求めました。
また日本政策金融公庫等に貸付資金5000億円規模を確保、経済対策第二弾を速やかに策定する旨公表しました。
ついで10日、政府は0.4兆円の財政措置に加え、総額1.6兆円規模の金融措置を発表しました。後者の中身は、日本政策金融公庫に5000億円規模の無利子・無担保の資金繰り支援となるコロナ特別貸付制度を新設(対象はコロナで5%以上売上高が減少した事業者で、中小は3億円、国民事業は6千万)、政投銀や商工中金の危機対応業務を発動、サプラチェーン再編支援として2040億円、またJBICで日本法人の海外事業の資金繰りやサプライチェーン対策として2500億円などです。当面は十分だと思います。
支援枠はできました。問題は迅速な実施体制が組めるか、そして財政政策も含め、今後も矢継ぎ早で適切な規模の対応が必要です。本日出席した金融調査会では、そうした意見が相次ぎ、政府からしっかり取り組むという発言がありました。
一方で、地方銀行も含めて金融機関の疲弊も気になります。これだけの対策なので、現場では結構大変なことになっているのだと思います。が、最大の関心毎は将来展望です。政府の後ろ盾はあるとしても、金利水準が上振れる傾向はまったく見えず、コロナ対策で更に厳しい状況になるのだと思います。
また、これも本日の金融調査会で指摘があったのが、企業にとっては決算開示の時期と重なること。コロナ対応で支障が生じる可能性があることから、基本的には政府は、法務省も金融庁も、そして東証も、開示できる時期に開示することで差し支えないとの見解を示しています。一方、米国のSECは、米国で上場している中国企業と長らく情報公開を巡ってバトルをしてきておりましたので、コロナだろうが開示せよ、とのスタンスであったようですが、ここにきて、開示延長を認める方針に変化してきています。私は、開示できなければ理由を示す、開示する段階で開示し、その時に開示できなかった理由の正当性をチェックすることで担保できるのではないか、と思います。
いずれにせよ、経済的インパクトの影響を抑えるために、金融面でも産業面でも、対応していきたいと思います。