日本の成長を考えたときに、世界のモノ・ヒト・カネの流れの中心を取る、いわゆる空港や港湾のハブ化を進めることは絶対条件です。とは言っても、こんなことはもう随分前から言われ続けてきたことで、改めて言うこともないのですが、実はがっかりするくらい全然進んでいません。がっかりしたついでに、とりあえず、まだ取り返しの付きそうな航空政策について、ここで論じてみようと思います。
ハブ化に必要な要件は、当たり前ですが、モノ・ヒト・カネの流れで、メンタル面、コスト面、ベネフィット面での競争力があることです。まずは、私のブログ拙文「ルックコリア」ではありませんが、韓国の戦略を紹介します。韓国は海外のエネルギーを導入しなければ生き残れない外需依存度の高い国ですが、それだけ空港や港湾の戦略は大胆かつ良く練られているように見えます。
国際空港のインチョンですが、インチョン所在地を経済特区に位置づけ、外国企業に対して破格の税制優遇措置と、ビジネス・リビング両面でのベネフィットを都市計画として追求したいわゆるコンパクトシティーの実現を目指しています。同時に、先進諸外国とのビザ協定を結ぶなどの規制改革を行っています。つまり便利で安く行ってみたいと思う都市です。
で、現状はまだターミナル面積も小さいインチョンですが、既に数年前に成田の旅客数は抜かれています。成田に羽田を足すとまだ多いですが、数年で抜かれる勢いです。
それもそのはず、例えば諸外国では珍しい航空機燃料税や航空機の固定資産税という追加コストがある上、発着料や施設使用料も高く、しかも成田の場合はビジネスセンターである都心までタクシーで2万円以上もかかるというメンタル面のコストは、諸外国主要空港にはありません。
現在、欧州でもハブがドバイに取られつつあり、ドバイはアジアのエネルギーも吸い上げようと、中東主要4社で800機もの機材新規発注があるそうです。モノ・ヒト・カネの国際的な流れは大きく塗り替えられつつあります。
今は日本がハブ化の構想を打ち出し強く推進する最後の機会になるかもしれません。税制・規制なども含め、トータルとして航空政策を抜本的に改めないと、もうだれも日本に目を向けてくれなくなるかもしれません。