お、いよいよか、と感慨を持って当日の新聞一面を見ました。2012年1月25日。アメリカが金融政策としてインフレターゲティングをとうとう導入しました。インフレターゲティングとは、物価上昇率の目標値を定めて金融政策を決定することで、外国でも導入さている手法です。
私はもともとインフレターゲティングや国債の日銀引き受けには慎重でしたが、これ以上周辺国が金融緩和策を続け日本が何もしなければ円高は固定化します。こんなところで為替の単独介入などやっても全く無意味です。デフレも固定化してしまっています。根幹的な問題を考えなければなりません。それには日本も導入検討が必要だと考えるに至っています。
少し説明しておきます。景気をコントロールしようと思えば政府ができることは大きく分けて2つ。政府がおカネを出して何かをすること(財政政策)と、皆さんがおカネを貸し借りする金融市場の金利等を中央銀行が上げたり下げたりすること(金融政策)です。前者は定番の公共事業で、後者は公定歩合や買いオペ売りオペなどと言われる操作です。
で、少しくどいですが、金融政策。何を目標に運用するのか、といえば、一番オーソドックスなのは、金利を目標にします。ところが歴史的には、80年代前後にアメリカやイギリスで貨幣供給量を目標にする金融政策(マネタリズム)がもてはやされました。が、成功したような失敗したような結果となり、その後、貨幣供給量ではだめだ、ということで、目標値としてインフレ率が取り沙汰されるようになりました。
マネタリズムは、景気対策が財政政策では限界があり金融政策を重視する必要があることを訴えたものと理解しておりますが、今では当然、財政政策と金融政策をうまくミックスして運営しなければならないと理解されています。
で、アメリカ。バーナンキFRB議長は元からのインフレターゲット論者で(というか権威)、もう少し早く導入するのかと思っていましたが、流石に慎重だったのでしょう。就任後から6年経った時点での採用となりました。先日、バーナンキは、財政出動の必要性を訴えていましたので、あれ?ぶれたか?と思いましたが、ぶれてはいなかったようです。
で、日本。昔、ノーベル賞を貰ったポール・クルーグマンなども日本の金融政策を批判していますし、多くの国会議員も積極的に導入の議論をしています。検討が必要だと感じています。
ただ、経済を支えているのは有効需要です。金利が極めて低いために財政政策が思うように機能しないということはあるかもしれませんが、だからと言って仕事がなく、資金需要もないのに、金融政策だけいじったって何にもなりません。財政政策が一番。それに追従するように、金融政策を行い、その目標値としてインフレ率を検討する、これが必要だと思っています。