転
■農業や中小企業目線の強力な価格転嫁による賃上げ
燃油や原材料などの物価高騰によって、ほぼすべての業界が大なり小なり影響を受けており、農業や中小企業などでは賃上げが容易な環境にはありません。そうした中で、政府は激変対策については責任をもって対処すべきでが、継続的な物価上昇に対してより重要なのは、健全で強靭な産業構造を作ることです。すなわち、デフレマインドが払しょくされ、値上げ自体に抵抗感がなくなれば、どの産業でも、仕入れ価格の上昇分だけでなく、従業員賃上げ分とともに、販売価格に適正に転嫁される、すなわち賃上げが進むはずです。諸外国では当たり前のように転嫁が進むので、物価上昇に伴って所得もGDPも緩やかに拡大しています。ポイントは、元請け企業が下請け企業の転嫁要請に積極的に応じるかどうかです。非積極なら下請法違反や独禁法違反になりかねないのですが実効性に問題がある。従って、これらの法改正も含めて、適正な価格転嫁構造の実現を図るためのあらゆる措置の実効性を高め、賃上げを実現したいと考えています。特に農業は農協を通じて市場で取引されるため、農家は価格形成力が弱いとされます。価格転嫁が進まなければ農家は食材を作ってくれなくなる。消費者にとっては、安心で、安い食材が、いつでも手に入る、という3拍子が揃わなくなる状況です。転嫁を進めることで、食材が高くなっても賃上げ分で賄える、という日本にしたい。合理的な価格形成に注力します。
公
■医療・介護・保育等、公定価格の物価スライド導入
物価が上昇すると政府の税収は自然と上がります。この税収増分は、本来、行政が実施する事業の支払い分に上乗せし相殺されるべきものです。なぜならば、政府調達を受ける事業者も物価対応しないければならないためです。典型例が、医療・介護・保育・大学など、診療報酬や介護報酬という名前の公定価格で支払い額が決まっている業種です(財務省が鉛筆をなめて決めている)。別の見方をすれば、政府は民間に価格転嫁を促しときながら、政府自体が最終元請けとなる事業としては、転嫁に全く非積極的だとも言えます。公定価格の物価スライド導入を推進します。
産
■国家戦略として強力な産業政策を推進
日本が世界の荒波の中で堂々たる地位を築くために、戦略的かつ重点的に投資すべき分野があります。半導体は代表例ですが、他にも宇宙や量子、バイオ、AI、エネルギー、デジタルなどです。これらは将来の飯のタネであって、力を緩めると、今後ますます世界の中で埋没し、二流国、三流国に転落、生活水準はみるみる低下していくことが予想されます。こうした投資を担う拠点を、サプライチェーンも考慮した上で、地方に戦略的に立地し、グローバルハブをも睨みながら、地方にとっての雇用や所得の増大につなげていくべきです。戦略的な産業政策を強力に推進します。
介
●参考)介護と移動手段を中心に地方の社会課題解決事業を推進
人口減少が進み高齢化と共に高齢者人口も減少する地方の主な課題は、ご年配層の介護と日常の移動手段の確保です。持続可能で安心な介護制度(別項目参照)の構築と共に、官民共創とテクノロジーの利活用により利用者負担の少ない準公共の移動手段・物流手段の確保が必要です。例えば世界では常識となっているライドシェアーですが、単純な規制緩和では、都会のタクシーが置き換わるだけにしかなりません。そうした安直な議論をいったん止めて、人口減少が進む地方に合ったビジネスモデルの構築を、既存事業者が中心となって、地方自治体との連携を前提として、議論を進めるべきと考えています。
脱
関連記事 総選挙特集トップ●参考)脱炭素戦略は地方経済を含め産業構造を見据えた政策立案推進
政府は脱炭素戦略として2030年までに温室効果ガスを46%削減するという大胆な目標を示しましたが、重大な課題が2つあります。第1は、国内サプライチェーンの課題です。46%削減を達成した際の社会構造や産業構造や経済状況がどのようなものになるのか、ビジョンなり目標を示した上でその目標を達成するための計画を描くのが戦略なはずです。民間事業者は、その戦略と睨めっこして事業内容の変更を行うはずです。政府が放置すれば、既存の安定供給さえままならない状況も生まれかねません。将来向かうべき方向を示すべきです。第2は、国際サプライチェーンの問題です。日本は既に最高水準と言われるほど省エネ脱炭素に取り組んできた上に、今回更に高い目標を設定しています。これまで多くの省エネ脱炭素技術を蓄積してきましたが、例えば高効率火力発電は輸出できなくなります。一方で中国は世界の3割の二酸化炭素を排出し続けており、低効率火力発電は輸出可能です。火力発電を輸入せざるを得ない途上国は、低効率火力発電を調達することになり、結果的に日本が蓄積してきた技術力は水泡に帰し、世界の二酸化炭素排出量は上がる可能性すらあります。経済エコシステム、資金エコシステム、技術エコシステムを十分検討し、国内経済と国際経済の両面を戦略的に考え抜いた勝つ戦略を立案して参ります。