政策5)国際秩序の安定化と危機管理

■国際秩序の維持に貢献する毅然とした外交力を確立

国際秩序の劣化が一段と鮮明になっています。経済グローバル化と国内格差拡大を端緒とした各国の自国主義傾向と国際政治の不安定化、更には米中の先端技術覇権争いによって、国際社会の秩序が劣化しつつあります。特に中国は力を背景とした現状変更の試みを続けており、秩序を不安定化しています。国際秩序を守るため、自由で開かれたインド太平洋を推進、具体的な行動に移し、これまで国際社会が築いてきた価値を維持し強化して参ります。また我が国防衛のため、防衛力を強化して参ります。一方で、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる新興国と先進国の間で、価値や意見の相違が見られるようになりました。価値観外交だけでは打開できない国際秩序の安定化のためには、経済・産業・技術・イノベーション・エネルギーなど、当該新興国にとって関心領域を引き出しつつ国際秩序の安定化に繋げられる日本にしかできない外交を展開すべきです。グローバルサウス戦略を積極的に推進します。

■あらゆる緊急事態に備え、必要な制度と体制を整備

コロナや東日本大震災では、十分な備えがあったとは言えません。国家の国家としての最重要機能は、あらゆる緊急事態に万全の備えをしておくことに尽きるはずです。緊急事態に備えすぎるということはありません。感性症や巨大災害以外にも、偽情報やサイバー攻撃も含め、国民の生命や財産、経済活動や生活が、様々なリスクに晒されています。従来、政府による緊急事態への備えは、未然に防ぐ術がある場合にのみ措置が講じられていました。例えば極端な例を挙げれば、隕石落下への備えはしていません。未然に防ぐには天文学的な予算が必要だからです。しかし、備えとは、未然に防ぐだけではなく、発生した場合にどのように対処するのか、も重要です。本格的な制度・運用・権限・体制などを主に国家安全保障の観点から整備して参ります。

■教育研究機関を強化し、人を育て科学技術力を強化

国力とは、そこに住まう国民が築くものです。従って人材力が基礎となります。例えば高等教育について、これまで政府は運営費交付金という基盤的な必要経費を各大学などに交付してきましたが、各機関の努力を促すために交付金を段階的に減らし、むしろ努力に対して交付する競争的資金を増やしてきました。その結果、大学等の研究機関は一昔前に比べれば優れた経営を行うようになりましたが、一方で目先の成果を追求した研究が多く行われるようになり、多くの優秀な研究者が海外に流出しました。この問題は、政府が教育者や研究者を何人育てるべきか、国家戦略としてどの領域に大胆に資金投入するべきなのか、という基本的認識や戦略なく、研究者任せで競争を促してきたところに問題があります。物価上昇局面で政府税収は増加しているのに交付額を物価に連動させず、各研究機関を窮地に立たせているのは、この発想にもよるように思います。これでは人は育ちません。研究や教育の基本的な戦略を策定し、人を育て人材力を高めてます。
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