(写真:2020年7月「厚生の指標」のデータを国民歯科問題議連事務局長山田宏先生がお纏めになったグラフ)
歯医者さんに行きました、という話ではありません。歯科検診に行けば行くほど健康寿命が延びるという話です。
以前から着目している課題ですし、政府も歯科検診の重要性を認識して、数年前から毎年の基本方針に掲げていますが、その認識が必ずしも社会全体に十分浸透しているとまでは言えないのが現状です。改めて本日、国民歯科問題議員連盟の総会に出席し認識を新たにしました。
昨年、「厚生の指標」という専門誌に健康寿命や平均寿命と、歯科通院割合の相関に関する研究結果が発表されました。それを前出の議連事務局次長をお務めの山田宏先生がお纏めになったものが冒頭の写真資料です。老人クラブや外出しているというだけよりも遥かに高い相関をもっています。
医療機関への通院割合と健康寿命が負の相関なのは、通院すると不健康になるということでは当然なくて不健康だから通院するためですが、歯科の場合、健康だから歯科に通院するということは凡そ不自然なので、やはりエビデンスとしては、歯科に通院すれば健康になるというのは確からしいと明確に言えるのだと思います。すなわち予防医療です。
日本の総医療費は44兆円。歯科は3兆円。社会保障制度のエコシステム(好循環)を考えたときに、歯科検診は欠かすことができない重要な要素なのだと認識しています。
もちろん歯科だけではありません。予防医療に資する政策は喫緊の課題であると認識しています。誰しも健康でありたいと思うわけですが、健康な人は健康になろうとするインセンティブ(動機)が低い。なぜならば健康な人は健康であることを意識しないからです。これが予防医療が進まない最大の要因です。
であれば、例えば体を動かす活動をすると何らかのクーポンがもらえるなど、健康維持のインセンティブを高める政策を積極的に実行すべきで、結果的に医療費は本当に必要とされる方に集中できるはずで、削減された財源の一部をインセンティブ政策費に回せば、医療エコシステムが回るはずだと思います。
歯科検診がそうした捉え方で積極的に進むことを願っています。