原発再稼動〜情と理

原発反対派の急先鋒のおっしゃることは分かります。原発運用の安全性に関する政治上経営上の不作為がもたらした問題、と一言では言い表せませんが、そういう問題に対する怒りであると思います。原発政策は、「失敗は許されない」ことがいつのまにか「失敗はそもそもない」ことにすり替わってしまったことが問題だと思っています。どなたかがおっしゃっていましたが、原発再稼動は安全かもしれないが安心じゃない、と。如何に説明できるかがポイントになるのだと思います。ただ情だけでなく理も国家運営には必要です。

1.原発を再稼動させた場合の、リスク・コストを具体的に提示すること。安全性だけでなく危険性の議論を、もしもの場合があったらどのように対処するのかも含めて徹底することが先決です。「失敗は許されない」ことを絶対に「失敗はない」ことにすりかえる失敗を絶対に犯してはなりません。

2.その上で、原発停止した際のリスク・コストを具体的に算出し提示すること。原油調達コストなどだけではなく、生活上の節電コスト、企業活動上の経済コスト、外交リスク、環境問題への影響、原油枯渇問題への対処なども含めたリスクとコストです。

再稼動しない場合の原油コストは全国で3兆円との試算があります。割り引いて考え3分の1としても1兆円。国民一人当たり1万円程度の負担。4人世帯で4万円。しかしその上に、上記のコストがのる。

再稼動するのしないのと言っているだけでも、電力供給の見通しが立たない中では、生産設備を持つ常識的な企業経営者は他所に移転する検討を始めていると言います。雇用が失われデフレが進行し景気は悪化します。節電で真夏に熱いのを我慢するくらいならできますが、給料は下がります。

経済への影響がGDPで最大2%の押し下げ効果があるとの試算があります。10兆円程度ですが、これも割り引いて3分の1としても3兆円。国民全員に3万円の負担。4人家族で12万円。

未来永劫原発でいくんだということは毛頭思っていませんし、原発立地県人でない人間が議論できる資格はないかもしれませんが、上で述べたことを考えたとき、上記の1と2を十分に議論尽くしたとすれば再稼動しないという選択はないと思います。

その上で、メタンハイドレートなど、次世代の新エネルギーをしっかりと研究開発しなければなりません。ちなみにこのメタンハイドレート。考えただけでも量産は難しい。しかし私はずっと注目しています。いつかこのことを書いてみたいと思っています。