驕(おご)った葦は人心を掌握できるのか

第46回衆議院議員選挙が終わりました。自民党が大きく議席を伸ばしましたが、決して圧勝ではありません。むしろ危機的状況なのかもしれません。

比例票を見ると、圧勝した小泉郵政解散の05年、自民が惨敗した09年と比較すると以下の数字になります。

05年   09年   12年
2588万 1881万 1662万

つまり、前回の惨敗選挙よりも更に得票できていない結果です。議席だけ増えて中身が伴っていない。物価だけ上がり続けて中身が伴っていないインフレと同じです。なぜ議席だけ増えたのかと言えば、第三極と民主が票の食い合いをしたから。決して自民党が信任を頂いたとは言えません。

パスカル。圧力の単位にもなっている物理学者ですが、パンセという哲学書も残しています。「人間は考える葦である」という有名な言葉のルーツです。曰く、”科学という理性の世界には限界がある。人間は葦にも似た大したことのない存在だからだ。だけど、考えるから他の動物よりはましだ。しかしだからと言って驕(おご)ってはいけない。なぜならば、たかが葦だからである。”

今、政治に必要なのは、驕りを戒め、謙虚に真摯に、政策の中身を、地に足をつけて議論することだと信じています。驕った葦は踏み潰されるだけです。

そして最大の政策内容は、絶対に景気対策です。

今、安倍総裁の経済政策に一部批判が出ていますが、私は方向は間違っていないと確信しています。私のブログでは散々書いてきましたが、今は金融だけ緩和しても意味はありません。需要を作るしかありません。消費も増やせない、投資も増やせない、輸出も増やせない、としたら、後は政府が需要を作るしかありません。財政制約の下でできるとしたら、このリフレ政策しかありません。国債暴落と金利上昇、更には急激な為替リスク。全て承知の上です。1年以上前は私もかなり否定的でしたが、やるしかないと思っています。驕らずに。