政権交代は日本にとってよかった部分も多々ありますが、大きく考えさせられます。
【二大政党制と政府の連続性】
第一に、二大政党制の実現です。何はともあれ、与党民主党は大政党になりました。従って、一歩、望ましい体制に近づいたと言えます。しかし、政権が変るたびに大きく政策がころころ変ってしまっていいものでしょうか。日本政府としては、仮に政権が変ったとしても、大きく変えてはならないところも絶対にあると信じます。(もちろん議会は、全く反対の立場から政党間闘争をするわけですから、第一党になれば議会としての政策を大きく転換していくことはむしろ当然のことと思います。)
例えば国家の根幹となる制度設計に関わる問題です。今後、政権が変るたびに年金制度が変ったり、介護制度が変ったりすれば、だれが加入しようと思うのでしょうか。また、実際の事務はそのたびに変更しなければなりません。これこそ壮大な無駄遣いではないでしょうか。有名になった八ツ場ダムですが、仮に次の選挙で自民が勝ったとして、また建設計画を復活すると言い出したら、この究極のムダをどう考えればいいのでしょうか。
外交案件もしかりです。普天間は白紙と言ってみたり、県外移設が前提と言ってみたり、引っ込めたり。政権が変わっても、日本人なのですから、慎重にならなければいけない問題は、特に外交案件の場合、多いと思います。
アメリカの場合、二大政党制ですが、政党によって政府が大きく振り回されることはありません。大統領制だからであって、独立しているからです。ある種ここに成熟した二大政党制の姿が見えます。
日本の場合は、議院内閣制ですから、政権が直接政党の力に左右されますので、議院内閣制の元での二大政党制で、政府の連続性をどのように担保していくかが今後の大きな大きな問題であると感じます。
【政治主導と地方分権】
第二に政治主導です。良かれ悪しかれ、政府と政権与党の関係を見直し、大臣が副大臣と政務官を決定し、省庁がポリティカルアポインティー(政治任用者)のみの意思決定で動くのは、まさに政治主導でしょう。行政の無駄遣い撲滅には最大限活躍してもらいたいと思っております。
しかし現在の政治主導は、他人の意見を聞かずに意思決定を単独でしているという意味では、独断専行ともとれます。専門的見地から助言しているとはいえ役人の言うことを聞かないというならまだしも、選挙を経て地方を代表している知事・市長の言うことも全く聞いていないように見えます。
「俺の言うことを聞け」では、完全に中央集権に逆行と言われてもしょうがないような気がします。企業や業種団体などは全く陳情の仕方もないようです。先日議員会館に立ち寄ったところ、多くの議員事務所がもぬけの殻でした。この時期の議員会館は税制や予算などで多くの人でごった返す時期だと思うのですが、今期は民主党は陳情・要望を受けないので当然かもしれません。
政治は、目で見て、耳で聞いて、鼻で感じて、口で熱く訴えかける。そのうち、耳を全く使っていないのは大きな問題だと感じます。十分に種々の皆様の意見を聞いて、それでご自身で判断されればいいのだと思いますが・・・。
いずれにせよ、政治主導と地方分権などという別々の課題の整合性をどのようにつけるかが今後の課題だと感じております。