21年度1次補正予算

今年度の一次補正予算が政府与党関連会議にて了承されました。 今後、国会の審議を経て執行される予定です。

総額15.4兆円(真水)、事業規模56.8兆円という、過去最高(これまでは小渕内閣の7.6兆円が最高)の補正予算の原案が発表されました。当初予算の88.5兆円(これもでかい)とあわせると、過去に類を見ない100兆円越えとなります。すごい年度になりそうです。

ちなみに、昨年度の2回の補正(真水)は、1.8(一次)+4.8(二次)=6.6兆円でした。その原資は、いわゆる埋蔵金(積立金)です。

以前も書きましたように、埋蔵金は役人が悪さのためにプールしている金ではなく、危機対応積立金です。この埋蔵金を使うことにより国債償還リスクや政府保有資産の変動リスクが高まり、日本の信頼性が下がります。が、そういうリスクより景気悪化のリスクの方が高いということで、これまで放出をしてきました。

今回の補正も基本的には埋蔵金ですが、建設国債にも手を付けないとおっつかない額です。理系の私も経済の単純な公式くらいは知っていたりします。つまり、Y=C+I+G。財Yは消費Cと投資Iと政府支出Gの和であると・・・。これから単純計算すると、GDPを2~3%押し上げる効果がある計算になります。これほど上手くは行かなくても、十分に機能するはずです。

昔、バブルが崩壊した際、財政出動派で知られるリチャード・クーさんが、今景気が0%成長しているのは、財政出動をしているからだ、と言い放っていたのを思い出します。当時は金融政策大流行の時代で、私の大のお気に入りの経済学者のポール・クルーグマン(昨年ようやくノーベル賞受賞)が提案してきたインフレターゲット論などがよく議論されていました。

クルーグマンが好きなのは政策というより書物の書きっぷりが不良っぽいからですが、理系の私としては、政策的にはリチャード・クーさんの方が説得力があるように思えます(10年くらい干されてましたが、最近ようやく復活です)。

前置きが長くなりましたが、今回の補正の具体策を記しておきます。あとは国会審議です。政局ネタではなく、まずは景気回復を機軸に国会が団結したいものです・・・。参考までに読売がいいことを書いてますのでリンクを貼っておきます。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090327-OYT1T01341.htm

●地方公共団体職員の皆様・今回の公共事業について、いわゆる裏負担が1割程度に低減されます。
・地方への交付金1兆円追加(香川県は約100億円くらいか?)
・公共事業前倒し実施(上半期契約率80%目標)・その他、殆どが関連しますので、全体をご覧になってください。

●学校関係の皆様
・スクールニューディール構想:3.2万校の公立小中学校へ、太陽光パネルやデジタルTV、PC、LAN、耐震化を3年間で集中的に進める。

●住宅・家電・車などの取得をご検討の方
・住宅取得に際して贈与税の非課税枠が110万から610万に拡大されます。
・住宅取得に際して住宅金融支援機構が民間ローンを100%保険でカバー。また同機構による頭金なしのローン創設。
・グリーン家電購入時、5~10%の還元(エコポイント:事実上の値引き)があります。
・13年以上経った車を新車に買い換えると10万円還元(条件あり)。
・エコカーを新車購入すると25万円還元。

●3~5歳の子を持つ親御さんへ
・今年度に限り1人3.6万円支給。

●高校・大学生と親御さんへ
・高校生への緊急支援(各都道府県に基金創設)
・大学生へ緊急採用奨学金と変換猶予者の対象拡大

●母子家庭のお母さんへ
・資格取得期間の生活費助成制度が拡充されます(10->14万円/月)
・助成対象期間を、これまでの資格取得期間後半から全期間へ拡大。

●女性の方へ
・子宮頸がんと乳がんの検診が無料になります(クーポン)(対象年齢あり)

●離職者の皆さんへ
・職業訓練を受ける間、10~12万円の給付と上限8万の貸付制度創設。
・住宅をなくし資金を持たない方に繋ぎ資金給付や住宅手当などを創設。

●企業経営者の皆様
・以前ご案内したハローワーク助成が拡大されます。 例)ワークシェアリングに取り組み企業に対し1人当たり最大45万円支給
・融資枠がさらに拡大されます。 例)信用保証協会の緊急保証枠を50%拡大します(20から30兆円へ)。政策金融公庫の貸付融資枠を25%拡大します(9から12兆円へ)。
・中小企業交際費課税が低減されます(定額控除限度額400->600万)。

●医療・介護施設経営者の皆様
・地域医療の再生。
・介護分野の人手不足解消のため、処遇改善やスキルアップを取り組む事業者には、今年10月から1.5万円/月を助成。
・緊急性の高い約16万人の老人ホーム入所待機者の解消のため、助成や融資により施設を整備。

●農林水産業関係の皆様
・農地集約に資する貸し出しに対する補助(1.5万円/10a程度)。
・耕作放棄地再生に3~5万支給。