メタンハイドレート

一時仕分けされそうになり危ぶまれていた独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構(JOGMEC)によるメタンハイドレート開発の生産実験が終了しました。少し前倒しでしたが、一定の成果を上げての終了でした。随分前から

日本近海に莫大な埋蔵量があるとされるメタンハイドレート。何者かと言えば、単なる天然ガスの素。石油に代わる代替エネルギになりますという話です。少し具体的に言えば、固体の氷状メタン。砂と混じったカキ氷です。それが海底300m程度に無尽蔵に近いほどある。圧力は130気圧。温度は約0度ちょっと下回る程度。基本的に氷なので溶かせばメタンと水になって出てくる。

では暖めたら良いのかと言えば、採れたメタンのエネルギよりも多くのエネルギをかけて暖めるのは馬鹿ばかしい。なので、圧力を下げて気化させようということで、最近ようやく実用化実験に至りました。減圧の仕方は比較的簡単で、注射器の原理です。海底に注射器を刺してプランジャを引き抜くと先端圧力は下がります。するとメタンと水になって出てくる。今回の実験場の産出量は、一般の商用ガス田開発の産出量と比べれば遜色はそれほどないようです。

問題は採掘コスト。最近話題のアメリカ産シェールガスもそうですが、基本的には原油は天然ガスとの比較上のコストが問題となります。私が就職した直後の1993年の原油価格は1バレル10ドル前後でしたが、今では100ドル前後。つまり原油価格が上昇したために価格競争力が上がってシェールガスも商用ベースに乗った。しかし、メタンハイドレートはまだまだ高コスト。民間も敬遠する状態です。

では何が必要かといえば、更なる技術上の課題もさることながら、政府主導のメタンハイドレートには絶対に出口戦略が必要だと思っています。どうやって商用ベースに乗せるのかという問題。実験やって産出できることは分かってもコストが高ければ商用化はできない。民間は食いついてこない。なぜならば代替手段があるからです。ならば、どうせ実験設備をつくるなら、そのまま商用化できるような設備を作り、実験終了と共に民間に無償貸し出しするくらいのことを、最初から民間と話し合いながら進められないかと思っています。

まだまだ商用化には5年以上の時間がかかると思いますが、努力して継続していくべき課題です。