雇用問題の今

失われた20年の間、特に小泉内閣以降の格差が声高に叫ばれた時代(私は決して小泉改革で格差が生まれたと必ずしも思っていませんが)、正規雇用とか非正規雇用とかが大きく取りざたされてきました。

少子化が進み、労働力がシュリンクし、今後やるべきはご年配の労働力、戦後、血のにじむような努力をされて今の日本を築いてくれたご高齢の皆様の、その知恵と経験を日本の再出発に生かすべく、シルバーパワーが一番大切だと、現時点で思っています。そしてそれ以上に大切なのが女性のパワー。先般、総理がこれまで初めての女性首相秘書官を登用しました。秘書官は結構体力のいる仕事ですが、それでも女性パワーの大切さのメッセージとしては最高のものであったと思いますし、大変だと分かっても総理の想いを請けて立ち上がろうとしている新秘書官には、ただただ脱帽するばかりです。

そしてさらに大切だと思っているのは、現在労働力不足が叫ばれている中で、今後日本がとるべきは、少子化対策。労働力の確保です。少子化担当大臣がこれまで一度も発したことのないメッセージ。それは、「子供を少なくとも2人生もう」というメッセージです。是非このメッセージを熱く語って欲しいと想います。

しかし、さらに大切だと思うのは、今後、どう考えたって10年後には労働力が不足します。今から少子化反転攻勢をかけても10年後には間に合わないのです。

であれば、10年後を見据えて、近隣アジア圏の迸るほどのエネルギーを日本でも活用させていただけないかということです。

現在、外国の単純労働者は、政府方針としては受け入れていません。海外の国際貢献の一環として、日本で学んでもらって自国に帰って日本の技術を生かしてほしいという、ソフトパワー路線の、外国人研修制度というのはあります。しかしこのまま、表向きの看板と実態が乖離していていいのだろうかと思っています。

地元で、農業でがんばっていらっしゃる方がいます。おっしゃるには、今このまま農業に全神経と全体力を注いでも、後継者が育ってくれない。どんなに国が後継者育成事業をやろうとも決定的な問題がある。それは、今の農業収入では若者は見向きもしないということなのです。

しかし、もし近隣アジアのエネルギーを日本で活用させていただけるのなら、農業のスタートアップはできます。ある程度、農業事業が成功したら、農家の息子さんや後継者は育ってくると確信しています。

あるいは、今、これも地元ネタですが、建設関係従事者のマンパワーが決定的に不足しているということです。今、建設関係者は、長引いた不況で技能者を切ってきました。そして、景気は現在少しは上向きになってきましたが、この状況がいつまで続くのが最大の関心ごとになっています。長く続かないのなら、技能者を育てる人的先行投資の計画はできない。つまり躊躇しているのが現状です。

では、誰が担ってくれるのか。東京オリンピックに近くなると決定的にマンパワーが足りない。だからこそ、時間軸をしっかり捕らえて戦略的に考え、今の政府方針を若干修正し、外国人のマンパワーを年配と女性と若者を登用した後の戦略として掲げるべきだと考えます。

決して海外のマンパワーをこき使おうなんてことではありません。日本人と同等の条件を提示すべきです。問題は、今の日本人でそういう大変な仕事を担おうとする若者が少ないということなのです。スタートアップの時だけ、そうしたアジアンエネルギーを拝借して、日本を立て直すべきだと考えています。

そのためには労働政策を真剣に考えていかなければなりません。党の雇用問題調査会の幹事として、そしてテレワーク推進特別委員会のメンバーとして、真剣に雇用問題を考えて生きたいと思っています。決して、正規・非正規という枠組みにとらわれずに。