産業構造の革新と中小企業政策

先に産業構造の革新と法人税減税について書きましたが、そこでは経済政策の主力商品である成長戦略について、ありとあらゆる政策を総動員して日本の活力とお金の循環をよくしていくことが必要なこと、そして法人税改革の意味を書いたつもりです。

ここでは、地域活性化の必要性、中小企業政策の重要性について、書いてみたいと思います。過去に、中小企業が輝けば日本が光り輝くという趣旨のことを書かせていただきましたが、それを戦略的に実施するにあたっての具体的な話です。

ここで、戦略的と申しあげましたが、過去の中小企業政策は戦略がなかったとまでは言いませんが、必ずしも描いた戦略の実効性が高いものではありませんでした。

理由は単純です。それは中小企業群の商構造がミクロレベルで把握できていなかったからに他なりません。ここでご紹介したいのは、昨年より中小企業庁と取り組んでいる、ビッグデータを活用した中小企業産業構造の見える化の話です。

個人的には、このプロジェクトによって、初めて中小企業産業構造が把握できるため、初めて戦略的に中小企業政策が打てるということになります。

詳しくは今年度白書に記載されていますので、ご参照ください。

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/13Hakusyo_part4_chap3_web.pdf

単純に言えば、サプライチェーンを可視化するというもの。例えば個社にとって、営業回り先の企業の経営状況が分かっても、その会社の取引先の企業までは分かりにくい。さらに言えば、その先の企業はもっと分からない。実は、そうした先の先にある企業が元気になれば、芋づる式に自社が元気になるというのは想像できると思います。

そうした商取引ルート、サプラーチェーンには、中核的な役割を担っている企業があります。そうした企業の経営状況や取引状況を仮に俯瞰的に把握することができれば、どこに支援策を講じれば、その会社に関係する会社群が元気になるかは一目瞭然です。

そうしたサプライチェーンの見える化、可視化を通じて、中核企業(コネクターハブ企業と呼んでいます)や関連サプライチェーンに直接施策を講じれば、関連産業全般の活性化が可能になります。さらに、産業ごとのレイヤーや地域ごとのレイヤーに分けて施策を打つことも可能になります。

こうした、これまでにない、全く新しい、本当の意味での戦略的中小企業政策によって、地域をいかに活性化できるか、現在真剣に考えているところです。中小企業と申しあげましたが、一次産業やサービス産業などを含め、全産業に関係する話です。いろいろ課題もありますが、地方が輝けば、そして中小企業が輝けば、日本は光輝く、という信念をもってこれからもがんばって行きたいと思っています。