地方創生の方程式

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地方創生・人口減少対策について、少しだけ大風呂敷に言えば、本予算で合計1兆7千億、補正予算で4200億円の予算を組み、合計で2兆円の対策を講じています。

この地方創生。理念的に地方分権に逆行するのではないか、との下らない指摘が一部でありますが、全くそうではないことを改めて申し上げておきたいと思います。

ちなみに、なぜ逆行などと騒いでいるのかというと、傾向として、財政運営が厳しく主要産業も少ない消滅可能性の高い地方の国への要望は、使途を限定しない交付金の創設や、公共インフラの充実、東京一極集中の解消などです。つまり、こうした伝統的な政策は、21世紀に入った頃から、地方への財源税源移譲や、規制緩和、公共事業削減という流れだったからという。

改めて、地方分権を正しく理解していれば以上のようなことは言わないと思うのですが、念のため、地方の全域に対して税源財源移譲と規制撤廃を突き付けたら、財政基盤の弱いところは一発で破たんするのは誰が考えてもわかる事です。規模の大きい成功都市はその方がありがたいと思うはず。だからシンプル分権が正しいと主張していました。しかし、正しい分権は、2段階分権、ということで纏まっていたはず。つまり、各地方が同じような財政構造になるよう国がしっかりと面倒をみるのが第一段階。第二段階は財源税源の移譲です。

そしてそもそもなぜ地方創生か。私の中では以下の通りです。

中長期課題という時間軸での国家戦略としての政策目的は人口減少対策です。その人口減少対策の柱は3本。最大の柱が地方創生、2番目が少子化対策、3番目が東京一極集中対策。地方創生の柱は、第一に地方経済の好循環創造と、第二にネーミングが定まっていませんが暖かい地方環境の創造です。

第一のポイントについて、地方経済に好循環をもたらし地方が経済的に豊かになっていくことは大前提で必須の課題です。そのためには農業や中小企業などあらゆる産業の政策が中心課題になります。あらゆる産業の底上げが大切です。農業は底上げ政策のなかでは一番大切です。農業については既にこの場で申し上げましたので省略します。しかしその上で、全体底上げではない、コア産業、コネクターハブ企業の存在が必要です。

例えば中小企業という切り口。勝ち組小規模地方の典型例である徳島などは、青色ダイオードで有名な日亜化学が居続けてくれた(だけかどうかは定かではありませんが大きな貢献)ために全産業で見ても毎年大きく成長しています。成功のロールモデルです。だからこそ地方創生のためにもイノベーション政策に私は注力しています。詳細はこれも何度も触れてきましたので省略しますが、ポイントは、アイディアを育ててくれる地方企業と投資してくれる地方金融のバインド、さらにはサプライチェーンの見える化を通じた戦略性のある中小企業政策です。もちろん、中小企業政策だけではなく、アイディアの種を生む科学技術政策なども重要です。

そして、インフラも戦略的なものは先述しましたが必要です。近視眼的な経済波及効果のみのためのものはもう投資すべきではありませんが、中長期的な意味のあるものは今こそ積極的に投資すべきです。地方に人がいないから投資しない、投資しないからいなくなる。人口減少スパイラルです。これに歯止めをかけれる戦略性と具体性が描ければ投資すればいい。無理無理と思ったらできるものもできないと思います。

結局どの程度地方という不合理に投資できるかという問題と、投資すべきかという問題です。だからこそは私は、資本と社会の在り方、バランスをここで真剣に議論しなければならないと考えています。ピケティというフランスの経済学者の本がバカ売れしているのも分からなく内でもありません(結論は賛同しませんが)。

いずれにせよ、全体として地方経済の好循環が生まれれば、若者の就職環境が整い、初めて住んでもらえる。

第二のポイントとして、暖かい地方環境の創造と書きましたが、これも何度も書いていますので多くは書きませんが、基本的に社会保障の在り方の問題です。第一のポイントがお金の好循環の話だとすれば、第二のポイントは地域や家族の心の好循環の話と言っても差し支えない。自助・共助を中心に、と言ったら薄っぺらく聞こえるかもしれませんが、実際には絶対に必要な取り組みです。

例えば、家族近居政策。フランスでは同居政策としてN分N乗という政策が導入されていますが、祖父母と孫と三世代で近居することを考えれば、育児ノイローゼや孤独死という悲し過ぎる言葉もなくなるでしょうし、自助共助によって国家的な財政も軽減される分だけ、それぞれの自助共助を補助した方がニーズにマッチすると私は思うのです。そしてさらに言えば、キーワードは自尊心ですが、困ってない人や困っているふりをする人まで保障してしまっているから本当に困っている人が困る。そうした、社会のセーフティーネットの少なさを見たら、働く世代が安心してリスクをとって働こうとはしない。どんどんと小さく生きようとしてしまう。そういう心と社会保障の悪循環を断ち切ることが地方創生の1つの柱になると考えています。

しっかりと取り組んでいきたいと思います。

なお、冒頭申し上げた予算について簡単にご紹介します。

1.地方財政:本予算として1兆円計上。地方自治体が自由に使えます。
2.個別政策(小さな玉シリーズ)に本予算として7225億円
  地方雇用環境創造に、1744億円
   (地方に若者雇用30万人新規創造目標)
  地方への人口移動に、644億円
   (東京:毎年転入を6万人減らし転出を4万人増やす目標)
  若い世代の結婚出産子育てに、1096億円
  インフラ・地域間連携に、3741億円
3.がんばる自治体への交付金
  UIJターン助成、創業支援、販路開拓、観光振興、多世代交流、少子化対策など、地方の総合戦略の先行的実施のため、補正予算として1700億円。
  経済対策(生活者・事業者への支援)として、例えばプレミアム商品券、ふるさと名物商品券、旅行券、低所得者向け灯油購入助成、低所得者向け商品券、多子世帯支援策として、2500億円。