観光収支が劇的に改善していることは皆様もご存知かと思います。日本の観光地はどこでも結構外国人がいらっしゃいます。現在訪日外国人は1400万人程度。落とすお金は平均15万円程度で、年間2兆円にもなっています。政府は2020年までに2000万人、その後は3000万人を睨んでいます。こうしたことは、以前、航空政策のところでも触れましたので、深入りしませんが、外国の方に、もっと日本のことを知ってもらうにこしたことはありません。
それがクールジャパンと呼ばれている取り組みです。先日も、党のクールジャパン戦略特命委員会にて、日本生まれのハリウッド俳優であるMasi Oka氏(本名岡政偉氏)にお越しいただき、日本のコンテンツビジネス(映画産業など)について意見交換をさせていただきました。
アメリカなどでは、ゴジラなど日本のコンテンツが流行っているのに収益が、それが日本にもたらされていないため、日本からは積極的にコンテンツを海外に輸出しようという動きが出てこない。マシオカさんは、もっともっと促進すべきだと訴えられました(ちなみに、なぜ日本のコンテンツ収益力が悪いのかというと、結局配給会社が牛耳っているから)。
その中で、最も印象に残った言葉。それは「日本は負けない事が重要で、アメリカは勝つ事が重要」。誠治はリスクをとった人のリスクをサポートすべきであるし、日本人はリスクをとった人を受け入れるべきだとおっしゃる。同感。映画産業だけではなく、リスクを取る人が市場を切り拓くという意味で非常に意味深い言葉です。
マシオカさんの名前を世に知らしめた映画は「ヒーローズ」という映画ですが、成功してから乗ってきた人が多い。成功する前に、リスクを承知でそれにかける姿勢を大切にしなければなりません。政治に何ができるか、しっかりと考えていきたいと思っています。
そうした基本的な問題を踏まえて、以下、マシオカさんがおっしゃったことを中心に、現実のコンテンツビジネスの日米の違いを考えてみたいと思います。
まず、日本だってマンガなど世界で放映されているから、がんばっているんじゃないの?と思いの方。実は、こうした成功例は、まだまだニッチビジネスでしかない。しかも、日本の戦略は、小さいところをコツコツとやっているイメージがあるとのことで保守的すぎる。結局リスクを取れない構造が災いしているという感覚があります。それでは本格的に参入できたというにはほど遠く、基本的にマスマーケットをとっていかないといけない。
例えば、中国は、ヒットする前に巨額の投資を映画に対して行って、中国の俳優を出させることもあるそうです。そして、こうした行いは日本人的感覚からすると、少し如何なものかと思いがちですが、アメリカ的感覚からすると、クールなのだそうな。日本の中だとこうした慎ましさは大切だけど、世界に出ていくと、世界に通じる感覚でいないと通用しないということでしょう。
また、映画の世界でのビッグチャンスというのは、なかなか訪れないわけですが、そうしたチャンスをしっかりつかめるかどうかも勝負です。アメリカも人脈社会なので世界中に人脈を作っていけるかも勝負です。もちろんこれはコンテンツビジネスだけの問題ではありませんが。
日本政府も、クールジャパン戦略には取り組んでいます。特に2020年のオリンピックを睨んだ戦略は重要です。また地方にとっても、産品の海外展開やコンテンツ発信にとって重要です。政府全体のクールジャパン関係予算も昨年より増やしていただいています。先ほどのリスクの話でいえば、海外需要開拓支援機構(通称クールジャパン機構)も立ち上がり、何件かの採択が進んでいます。北海道は同機構と業務提携をして連携していくことにしたのだそうです。
http://www.cj-fund.co.jp/files/press_150128-1.pdf
ちなみに日本が誇るアニメについてですが、実はアニメのスタジオの40%がカナダにあるのだそうです。理由は単純明快で税の優遇が半端ないとのこと。もちろん、だから日本でも、という単純な話ではないとは思いますが、コンテンツビジネス育成支援という意味での環境整備は考えなければなりません。