謹賀新年ー戌年の新しい年を迎えて

さぬき富士と初日の出

戌年の新しい年を迎えました。謹んで新春のお慶びを申し上げます。昨年も多くの出会いと気づきの機会を賜りました。これまでご縁を賜っております全ての方と、新しくご縁を頂いた皆様に、心から感謝申し上げる次第です。

戌(イヌ)と言えば、ご存知の通り昔から人間との関わりが強く、古事記には人を導くために登場、花咲爺でも飼い主の善良なお爺さんに豊かな富をもたらし、桃太郎では飼い主とともに鬼を退治して活躍しました。皆様にとって、今年一年が、そうした年の巡り合わせに導かれるように、よい年であることをお祈り申し上げます。

一方で、イヌを念頭に政治の現場から世の中を見れば、一犬虚に吠ゆれば万犬実を云う、という言葉がどうしても頭に浮かびます。虚を云うも易し、実を云うも易し。しかし、その情報の受け手が健全な関心を持ち自ら調べる事が肝心で、世の中が良くなるための必須条件と言っても過言ではありません。そうあるためにも、政治が謙虚に真摯に事にあたり、諸事説明する努力を怠らず、中身の政策にまい進するべきは、論を待ちません。

昨年は総選挙がありました。その節には大変お世話になりました。心から御礼申し上げます。その時の争点の一つが消費税と社会保障です。日本はアメリカと違い社会保障は手厚いですが、北欧ほど負担が高いわけではなく、いわゆる中福祉中負担の国家です。私自身はこの路線は維持していくべきであると考えています。ただし、大きく分けて2つの視点で見直しが必要です。

1つは、高齢化に受動的に対処するための制度であるものを、加えて人口減少に歯止めをかけるための能動的なツールに変えていくことです。現代の若者は、何よりも将来不安に喘いでいます。例えば、年金制度は累次の改正が行われていて、財政的に破綻する可能性などないと断言できる状態であるにもかかわらず、ほぼ全員が破綻する可能性が高いと考えています。健全な関心と正しい認識を持って頂くことを切に望みますが、それでも若者の保障制度を構築していくべきは論を俟ちません。

もう1つが、国民の自尊心を擽る政策に組み替えていくこと、つまり、国民の皆さまから見て社会保障は使わなかったら損だと思うようなものから、使わなかったら得だと思うような制度に改善すべきは改善していくということです。例えば特定の薬用湿布薬の美容効果が極めて高いらしく、美容のために医師に処方してもらって安価に入手される方が多いとの報に接しました。これで何百億円の財政支出だそうです。極めて不健全なものだと感じています。

一方で、経済に目を向ければ、マクロ指標は概ね良好で、ゆるやかな景気回復が続いています。問題は、中小企業や小規模事業者です。景気の指標であるところの倒産件数は劇的に少なくなっている者の、後継者不足によって廃業件数が増加しています。おそらく向こう10年で本質的な対策を打たなければなりません。今年度の税制改正で、例えば承継時の相続税・贈与税の猶予対象が全株となりました。猶予比率も全額となります。こうした取り組みで、円滑な承継が行われることを期待しますが、環境だけで主体となる経営者の皆様の心が動くわけでもありません。わくわくするような、そういうエネルギーを創っていかなければならないものだと思っています。

北朝鮮による暴挙や劣化していく周辺安全保障環境にも、しっかりと対応する安全保障環境を整えていかなければなりません。まずは日本の防衛について抑止力と対処力を質と量の両面で財政制約の中でしっかりと改善していく努力を行わなければなりません。そして、同時に同盟の維持強化。かつて、とある政治家が同盟とは芝刈りだ、放置すると雑草が生える、と言いましたが、否、放っておいたとしても、青々しく綺麗に整った芝になる環境を整えていく努力の方が重要だと感じています。

最後になりましたが、皆様の益々のご隆盛とご活躍を心からご祈念申し上げます。