経済再生の3本目の矢(成長戦略)

これまで何度もこの場で申し上げておりますが、日本再生の最重要課題は2年前からお訴え申し上げている通り経済再生で、奇しくもアベノミクスと喧伝されている内容とほぼ同じです。政府の政策の骨子は3本の矢。大胆な金融緩和・機動的財政・成長戦略です。ご存知の通り、1本目は、日銀との協調と本格的な目標インフレ政策の導入。既に実施段階にあります。2本目は、補正予算を含めた15ヶ月予算による積極財政。これも本予算が閣議決定されましたので、今後国会での予算審議に入ります。

問題は3本目の矢です。

私は3本目の中心的課題は道州制を視野に入れた地方分権だ、と、これも2年ほどまえからお訴え申し上げておりますが、現在の政府の成長戦略の地方分権は末端の1分野で取り上げられている程度に過ぎません。機会を見てもっと上の柱になるように党内でも訴えて行きたいと思っています。

が、今日の課題は、成長のエンジンである科学技術・イノベーションのお話です。

日本の国際競争力はどんどん落ちていて、現在は世界で27位。低い。上位は、アメリカやシンガポールやスイスなどが並んでいます。しかしこれをもって日本の科学技術力が失われたと勘違いしてはいけません。詳細を見ると、研究開発者数や学術記事数、特許数、研究開発支出などは、いずれもトップ3に入っています。そしてビジネス分野では、株式投資額、CSR、環境や健康への関心、ジニ係数(格差)などでも3位内に入っています。

何が問題かといえば、対内直接投資や生産移転の脅威、法人税率、政府予算収支、人材の国際経験、労働力成長率などが、50〜70位程度の低さです。平たく言えば、研究開発力は抜群だけど、それを生かすシステムが決定的にダメということになります。

そう考えると、科学技術政策にも3本の矢が必要なります。

1つは、これまでもやってきた重点研究分野を絞って集中的に資本投下するトップダウン型。これはもう確立されていますので、あとは官邸もしくは総合科学技術会議に科学技術の情報をまともに伝えるシステムを確立し、トップの決断をできるかぎり合理的にする方法を考えることです。これは総合科学技術会議改革の話に繋がります。

2つめも、これまでやってきた大学や研究所への研究資金の投資です。どんな分野に革新的な芽がでるかは分かりません。ですから、無駄かもしれませんが基礎研究は進めるべきであり、それこそ政治の責任で行わなければなりません。絶対に無駄じゃなければ民間が研究してます。これはボトムアップ型と言っても良いかもしれません。問題は、財政難の折、ここの資金的な底上げをどのようにするかです。そしてこの資金を研究者がいかにまともに使うかのルール作りを今後考えていかなければなりません。

3つ目が、先ほどの競争力のところで触れましたが、今回主張したい、市場とのマッチングや情報提供のシステムを確立することです。つまり投資したい人と研究者の情報伝達経路がないという問題です。官邸や政府だけでやることはできません。マッチング型とでも呼ぶことにします。

年始から掲題の調査会に参加しておりますが、安倍総理の3本目の矢である成長戦略。いい制度ができるように頑張っていきたいと思います。