平成30年度税制改正

今年も残すところあとわずかとなりましたが、年末恒例の税制と予算の審議が党内で行われ、税制は先日決着、そして本日、来年度予算が閣議決定されます。すべてをご報告することはできませんが、ここでは、報告が遅れましたが、先日決着した税についてご報告したいと思います。

https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/136400_1.pdf

総じていえば、現在の経済成長を確かなものにするため、引き続き生産性の改善を行うとともに、人生100年時代を見据えた誰もが生きがいを感じられる社会をつくる、ということに尽きます。働き方の多様化に合わせた所得税改正、デフレ脱却と賃上げや設備投資拡大のための税制改正、中小企業のための事業承継税制拡充、観光政策の拡充などです。

所得税は、給与所得控除が一律10万円縮減されるとともに控除が頭打ちになる収入が1000万円から850万円に引き下げられますが(子育て世帯・介護世帯は負担増なし)、そのかわり、基礎控除が一律38万円から10万円拡充され48万円となります。そして公的年金控除も収入制限をかけ(1000万円)るとともに年金以外の収入が多い方の控除額を引き下げます。その結果、ざっくりと言って収入が多い方(1000万円以上)は、負担が増えますが、ほとんどの会社員の方や年金受給者に負担増は発生せず、最近働き方の多様化で増えているフリーランス・個人事業主は負担が軽減されます。

次に主に事業者についてですが、引き続き賃上げ(対前年比3%以上、定期昇給含む)と投資(当期減価償却の9割以上)を達成した事業者は、賃上げ額の15%の税額控除を、更に教育訓練(人づくり投資が前2期平均の1.2倍)も達成すれば、20%が受けられます。さらに、情報関係への投資は投資額の3%の税額控除を、賃上げも同時達成すれば5%の控除を受けれます。一方で、今年の特徴ともなっているかと思いますが、研究開発税制について、賃上げもしなければ設備投資もしない事業者は、減税措置を適用しないとされました。

中小企業について、大きな社会課題ともなりつつある廃業率の上昇について、つまり事業承継の円滑な促進についてですが、10年という集中期間を設けて、大胆な施策が打ち出されています。1つは、承継時の猶予対象株式の制限(総数の2/3というやつ)が全廃され、納税猶予割合8割が全廃され、贈与・相続時に納税負担が発生しないようになりました。また承継後に譲渡や解散した場合に、相続税や贈与税は承継時の評価でしたが、譲渡や解散の時点での評価となりました。ある種当たり前ですが、承継時の不満と不安が解消されるものと思います。また事業再編について、自社株を対価とした買収を実施する場合、今までは対象会社の株主に課税していましたが、一定の計画に基づく事業再編について課税を繰り延べることとなりました。

その他、いわゆる出国税、内外無差別で一律1000円を徴収することになりました。観光施策の財源として扱われます。2020年訪日外国人4000万人達成にむけた国造りのためです。また、東京23区から本社を地方に移す際に減税措置が施されていたものの条件が緩和されたほか、外国人向け消費税免税措置の利便性向上やタバコ、また国際課税の見直し、外国人の出国後の相続税納税義務の見直し、電子申請など納税の円滑化環境整備などです。

所得税は、最終的にはもっと精力的なシェイピングになるべきものだと思います。少し時間がかかりますが、努力していきたいと思います。