四国の夜空と空海と

四国について考えることがしばしばあります。

道州制の議論は政権交代で頓挫していますが、この多様化時代に中央集権的に中央政府が全てを決めていたのでは、効率的な画期的なアイディアはでません。日本国家の成長が止まってしまいます。であればこそ、地方分権を推進し、地域が地域にあった事業を地域ごとに勝手に進められるシステムを作らなければなりません。民主党だろうが自民党だろうが、手段こそかなり違いますが、地方分権社会に進んでいることはまちがいありません。

そこで四国について考えたい。四国はそれこそ海に囲まれた島。であればこそ他地域よりも真剣に、地方分権時代に向けて四国独自の発展モデルを自らが提案して準備をしていかなければなりません。でないと、取り残されます。その四国を考えたときに必要なのは水と輸送であると思っています。

今までのように政治が単に企業誘致だと叫んでも将来展望のある四国像は全く浮かんできません。まずは明確な産業戦略があり、そして必要な企業誘致なら分かります。しかし今、四国には明確な戦略は見当たりません。

地方分権時代とは地方が直接海外と戦う時代です。農業で言えば、近所の農協の若き熱血職員が、明日から海外に出張にいってくるわ〜といって2〜3日後に戻ってきて、3万トンの商談まとめてきたぜよ〜という時代です。

静岡県は10年前くらいまでは県民所得で言えば大した県ではありませんでした。ところが今では3番目くらいには常に入っている。なぜか。東京圏と愛知圏の中間という地の利を生かして、物流と部品供給で発展してきました。

そして今、日本のアジア戦略で、北九州が発展しています。韓国に近い、中国に近い。とすれば、中国地方か四国地方も発展のチャンスは絶対にある。しかし、そのどちらを企業がとるかといえば、まちがいなく中国地方です。アジアに近いし陸続きで物流も安い。

すると四国は負けます。瀬戸大橋などを通常の高速料金並みにしないと話になりません。さらに言えば、瀬戸大橋・しまなみ・淡路があっても、九州にはいけません。どん詰まりです。であれば、カネはかかりますが、愛媛から九州に抜いてあげないと、意味がありません。100年計画です。

その上で、四国は今後オセアニア戦略を取るべきだと思っています。オーストラリアからの輸入は四国に任せてくれ!そう言える四国であるべきです。ハブ化です。大規模な港湾を四国に作るべきです。できれば徳島あたり。

そして水。これは既存路線を推進させる。経産省纏めによると、工場立地の条件の主なものは、人件費や土地などのコスト、自治会などの地元などの理解、そして水やエネルギなどのインフラ。

私は決して公共事業ばんばん利権野郎ではありません。何とか歴史館やら何とか記念館など、不要なものは絶対に排除していくべきです。しかし、本当に必要なインフラというのは必要なのです。

写真は、まんのう池のゆる抜きです。この日を境に、流域の田んぼに水が入り、讃岐に美しい田園風景が広がります。空海という人は本当に国際人だと思います。一宗教家ではありえない。9世紀に中国に行き、密教のみならず、中国にあったエンジニアリングという意味での技術を持ち帰った。のみならず、その技術を使いこなすための人材育成機関、一般庶民向けの今で言う私立大学を全国に作ろうと試みた。とても先見の明があったスーパースターです。

そんなことを思いながら、今、四国の夜空を眺めています。