安倍総理の米議会演説について想う

3日間という非常にタイトなスケジュールではありましたが、4月29日から訪米して参りました。安倍総理による米国上下両議院合同会議での歴史的演説について、思ったことを書き残しておきたいと思います。その直後に行われた日米国会議員交流会議での議論で思ったことは、次号に譲ります。

◆動画 http://www.c-span.org/video/?325576-2/japanese-prime-minister-shinzo-abe-addresses-joint-meeting-congress

◆原稿(和) http://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_001149.html

◆原稿(英) http://www.mofa.go.jp/na/na1/us/page4e_000241.html

キャピトルヒル(議会)周辺に近づくと、日本の国旗が町の交差点ごとには掲げられているのを見たのは当然初めてで、その時点で少し感動を覚えながら、議会に入って参りました。安倍総理の演説は、周到に練られた絶妙なものでした。会場で一緒に聞いていた米国会議員からも大変良かったとの好評価を頂きました。演説直後のレセプションでお会いしたケネディ大使や、甥のジョセフケネディ議員も同様の好評価でした。その理由としてどのようなものがあるかと言えば、

・そもそも英語であったこと。
・通常の他国首脳の演説はその国の国民向けである場合が多いが、安倍総理のものは、我々米国民向け以外の何物でもなかったこと。
・歴史認識に注目が集まっていたが、必要十分な言及があったこと。
・世界の平和と安定に米国と共に積極的にコミットしていく姿勢が感じられ、さらに、最後は希望の同盟と結んでおり、将来にわたる関係を感じさせるものであったこと。
・その他、細かいことを言えば、安倍総理自身の米国留学体験や、戦禍に倒れたアメリカの将兵を称えたこと、特に、議会演説に同席していた第二次大戦中の硫黄島で上陸した元海兵隊司令官と日本側の栗林司令官の孫(新藤元総務大臣)に触れ、し烈に戦いあった敵同士が時間を経て友情を育んだ話、さらにはその中で、日本の歴史についてrepentance(悔悟)という教会での懺悔のときに使われる言葉を選んでいたこと。

などが主要なものでした。

私自身も心にジンとくる表現が多分にあり、だからこそ満場の拍手は20回はあったであろうし、そのうち10回以上はスタンディングオベーションになったのだと思います。

反対に、批判的な言動は事前から予想されていましたが、現場にいる限り、まったく感じるものはありませんでした。日本の新聞記者さんも会場にお揃いになっていらしたので、同じような雰囲気を感じ取っていらしたはずです。

残念なのは、そうした新聞の一部では、あたかも批判言動が好評価と同程度あったのかと思うほど批判コメントを載せている社があること。後から聞くと批判はマイク・ホンダ議員からあったそうですが(慰安婦への謝罪がないという理由)、それ以外に批判を積極的に行った議員はいないと理解しています。(そもそも、この方はもう1990年代からその手の活動を行っている方で、選挙事情を考えれば致し方のないことなのかもしれません。)

韓国からも、当然、公式に、慰安婦への謝罪がないとの非難が、大統領自らによって、寄せられています。マイク・ホンダ議員の件も同じですが、これについて、知人の米国識者は、そもそもここは米国議会であって米国向けの演説であり韓国向けの演説ではないこと、そして、女性の人権を守る強い意志を安倍総理は表明したこと、さらに言えば、村山談話や河野談話を全体的には引き継ぐことを明確に示したことで、必要十分であった、とおっしゃっていましたが、私も全く同意見です。

少なくとも、米議会は、日本が考えていること、つまり日本に都合の良いように歴史を修正しようなどということは毛頭考えていないこと、は理解いただけたのではないかと思っています。ただし、日本は韓国に直接お詫びをした方がよいと思っている議員は大多数であろうかと思います。この理由は、議員交流会議での議論にも関係するので次号で詳述したいと思います。

いずれにせよ、歴史が動いたと感じた議会演説でした。これから我々政治家がやるべきことは、歴史が動くのはいいけれど、どのように動いていくのか、あるいは動かすのか、しっかりと議論し見極め決断していかなければならないことです。

米下院議会での上下両院合同会議

演説直後のレセプションでお目にかかった総理

加藤官房副長官(岡山選出)

ケネディー大使とその甥(ロバートケネディーの孫)のジョセフケネディー議員と

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タフネゴシエータとして知られるカトラーUSTR主席代理と

ローレス元国防次官補と

 

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