続、学校の先生が忙しすぎる件~部活はどうなる~

初当選直後のこと。中学生の教諭として活躍していた私の中学高校時代の親友にばったり会ったときに、彼が言い出したことを昨日の事のようにはっきりと覚えています。彼は温厚で正義感の人一倍強い男なのですが、曰く、教員生活20年だが限界を感じ職を辞することになった、と。改善策はあるか、との私の問いに、部活動の運用改善と即答でした。漠然と感じていた教諭という仕事の実態をはっきりと肌で感じました。

直ちに国会で実態把握と改善策を練ろうと運動を始めたとたん、すでに同じ問題意識を感じていた同僚が多くいて、まさに議員連盟を立ち上げたところでした。我が意を得たりと早速入会し、政府に対する申し入れをしたことを昨日のように思い出します。

学校の先生が忙しすぎる件 (2016.5.31)

ご存じのように、部活動の運営方針が変わります。地域のクラブとして地域で運営することを念頭に2020年9月には下記の通り新しい方針が示され、来年から3年かけて中学校を中心に段階的に地域に移行することとなりました。

運動部活動改革のこれまでの経緯・取組について

学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について

・(参考)NHK:部活動の「地域移行」って何?

ただ、当初から指摘されているように、事はそれほど単純ではありません。事の発端は、前述の通り教員の働き方改革を改善しないと子供たちに望ましい教育が提供されないことですが、働き方を改善したとしても結果的に子供たちのスポーツを通じた教育がおろそかになるようなことがあっては絶対になりません。地域移行は必然的な流れですが、問題はどのようにそれを実現するかです。

基本的には地域のクラブが念頭にある方針ですが、規模の小さいスポーツであれば、当然クラブ活動は困難になる可能性があります。また学校単位の競技がクラブ単位の競技になるため、地域によっては活発な活動が困難になることも予想されます。

地域以降が必要となった本質的な原因は、学校の現場の教員に真っ当な権限を付与できていないことにあるのだと感じています。教育現場に問題が生じるとマスコミが殺到して騒ぎ立て、役所が全国一律のルールを作って改善策として提示、結果的に調査報告の類のペーパーワークを現場教員に課すことになり、教員が多忙になっているのだと感じていました。

他にも、社会の多様化によって教員が扱わなければならない課題が多くなりすぎていることも原因の一つでしょう。ただ、どちらの理由もお役所からお題目が現場に降りてきて現場が窮屈になっているのだと思っています。マイクロマネージとまでは言いませんが、日本の教育行政全体がそうなっているように思います。

今からの時代、高度成長期のように画一的な教育供給をするよりも、子供たち一人一人にあった教育の提供が求められています。従って、現場に権限を委譲しつつ、サプライサイドの教育から、子供目線のデマンドサイドの教育にしていく必要があります。

実は既存のルールを根本的に変えなくても教育委員会の方針決定でかなりのことができるようになっています。ただ、プラスオンでそうした真っ当な取り組みを独自にやりきる余力が残っていないように思います。

いずれにせよ、こうした本質的な問題の改善は時間がかかります。であれば、例えば今回の部活の地域移行も実施していかなければなりません。問題は、どうやってやるのか、という手段が非常に大切になります。カネとヒトをかけてもココロがない部活になることは避けなければなりません。

幸い、新しい資本主義と言われるように、社会課題解決を社会全体で志向する流れができています。今の若者は、そうした社会課題解決や社会の持続可能性に極めて敏感です。そして少子化の時代、スポーツ人口のすそ野拡大を志向する人はだれなのかと言えば、例えばスポーツ用品メーカです。

若者とメーカがタイアップして地域社会課題を共に解決するとともに、そうした大手メーカが、世界に還流する7千兆円とも言われるESG資金を日本にしっかりと呼び込んでこれる社会循環を考えていきたいと思います。これは決して金儲けの話ではありません。社会循環にとって必要な資金循環を作っていかねばなりません。持続可能社会にとって極めて重要な視点であると思っています。そしてそのためにも、地域社会に理解が得られるように、運営の透明性が必要になるのだと思います。

地域×スポーツクラブ産業研究会の最終提言「未来のブカツ」ビジョンについて

先日、とある大手企業の企画で、丸亀の子供たちのサッカー教室とウォーキングイベントに参加した際に、このことを深く考えさせられました。