【善然庵閑話】安倍総理と小泉政務官と石光真清

明治のころに波乱の人生を歩みながら活躍した石光真清という情報将校がいました。もともとは熊本の名士の出で、現職衆議院議員の橋本岳先生の曾祖伯父(そうそはくふ=曾ばあさんのお兄さん)、というか、橋本竜太郎元総理の大伯父(おおおじ)です。

司馬遼太郎の坂の上の雲に登場する有名な情報将校である明石元二郎大佐とほぼ同時代に活躍し、意外と歴史に大きな名前を残すこと無かったにもかかわらず、その道の世界では明石元二郎よりも注目されている人です(知の武装:新潮新書)。

情報将校というインテリジェンスサークルにいた人物にして、文才があったと言われています。森鴎外や二葉亭四迷などとも交流があり、後に三島由紀夫とも交流のあった東文彦が石光家の系譜に名を連ねています。恐らく文筆家という星の下に生まれたのでしょう、石光の著した「城下の人」をはじめとする四部作が後に息子によって父の名前で出版され、毎日出版文化章を受賞しています。軍の内部から一人の人間として見た明治の雰囲気を直接伝える優れた資料であると思っています。

恐らく感受性の豊かな人物であったのだと思います。斜め読みしかできていませんが、心を打つ箇所が何箇所もでてきます。恐らく文才というものは、感受性が豊かでなければ現れないのだと思います。別の切り口で言えば、感受性が高くなければインテリジェンスの世界で活躍できていなかったのかもしれません。

そういう意味では、政治も感受性が大切です。最近、総理の演説原稿を読んでいて、ものすごく思うのが、表現力の豊かなことです。例えば今月、エチオピアでのアフリカ連合での会合でのアフリカ政策の演説。

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0114speech.html

小泉政務官の挨拶も、いつ聞いても(最近聞いてませんが)表現力豊か。浪花節とでも言うのでしょうか。胸にぐぐっと迫ってくる言葉の力を感じます。

世の中、ぼーっと過ごしていると見逃してしまうかもしれないような些細なことでも、受け取るほうの受け取り方で、すごくそれが生きてくるというのがあります。そういうことを大切にして、しっかりと生きて生きたいと思っています。

また下らない話をしてしまいました。