再び航空政策について

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航空政策について少し雑感とメモを書いておきたいと思います(写真は先日羽田空港を視察したときのものです)。

以前より私は首都圏空港機能の強化を日本の成長戦略の柱の一つとして明記すべきだと思ってきました。具体的には羽田滑走路増設、成田の航空政策を中核とした国際戦略特区化と空港機能強化、そして羽田と成田の戦略的役割機能見直しです。

1.巨額投資について損得勘定はできてるのか?

羽田D滑走路の総工費は約7000億でした。高いですよね。でも、国際収支を見ると簡単に損得が分かります。今、国際収支の中の旅行収支は赤字です。それも大赤字。日本人が海外に落とすお金の方が、外国人が日本に落とすお金より、毎年数兆円多いのです。最近は赤字が減ってきましたが・・・。いずれにせよ毎年滑走路を1本以上作れる額のお金を日本は失っています。(ちなみに羽田に新規に作るとしたら工法の関係で7000億より安くなると言われています)。

2013年上半期の訪日外国人数は約500万人。最近どんどん増えています。D滑走路を作ったこととビジットジャパン政策の効果です。そして彼らがその半年に日本に落としたお金は6665億円。つまり単純計算すると、1人10万円以上落としてます。

2013年は合計の訪日外国人が1000万人を超えました。つまり1兆円くらお金を落とした。そして先日、政府は2020年のオリンピックパラリンピック大会には2000万人、そして2030年には3000万人の訪日外国人を目指すと閣議決定いたしました。しかし滑走路を作らなければそれは現実不可能です。しかしもう1本滑走路を増やし、困難ではありますがその他の諸般の課題を克服すれば3000万人も不可能ではない。

つまり、滑走路新設7000億円の1回ぽっきりの投資で毎年2兆や3兆のお金が落ちるという計算です。もちろんこの計算は穴があります。キャパを増やして本当に訪日外国人が増えるのかという問題です。少なくとも現在も傾向とアジア圏の需要増予測、中東や欧州と北米圏の乗り継ぎ需要を考慮すれば、十分に成り立つ話です。現に、韓国などは、どんどんと空港拡張を計画的戦略的に進めています。

2.東京ばっかりか?

ハブの意味を考えなければなりません。ヒトモノカネの流れは、航空路数の何乗にも比例します。つまり、路線1の空港を10つくるよりは、路線10の空港を1つ作ったほうが、遥かに有利だということです。理屈は簡単で、なぜなら、便利な空港を使いたがるからです。

最近、地方の空港が積極的に海外定期便を飛ばす努力をしています。地方がそれぞれ海外の主要都市(例えば韓国インチョンとか)に定期航路をもつのは、地方に住む人にとって便利にはなります。しかし、国際的に見れば、海外の空港のハブ化を加速することになり、日本全体で考えれば、不利になります。

なぜか。例えばアメリカからみて、羽田に飛ばしても、日本各地50箇所にはいけるけど、韓国やアジア圏の地方都市にはルートがそれほどない。しかしインチョンに飛ばせば、韓国のみならず日本の地方都市も含めてアジアの各地方都市に乗り継げる。当然アメリカの会社はインチョンに飛ばそうとする。益々インチョンのハブ化が進行していきます。地方から見ても、アジアの各地方都市に行くのに羽田やら成田は使いません。就航したインチョン便を使い、そこから各地方都市に乗り継ぐ。

事実、羽田は国内に50路線もっていますが、インチョンは日本国内地方都市に22もの路線をもっています。海外の空港が国内の地方に日本のハブの半分も持っているのです。これが究極に進行すれば、例えば高松から女満別に行くのに、羽田を経由するよりインチョンを経由したほうが安く便利になるかもしれない。航空機燃料税も取られないし・・・。そうすると、ますます日本の富は海外に流出していき、結局は地方も損をする。

つまり国際乗り継ぎ便や地方便も含めて首都圏ハブにもっていくことが地方の発展をも助長することになるということです。

3.成田はどうなるの?

成田と羽田の役割機能分担の戦略が必要になります。成田も機能強化をしていかなければなりません。ここは別途書いてみたいと思います。

4.単純計算の首都圏キャパについて

勝手な単純計算をすると、首都圏の国際線の発着枠キャパは現在、成田の30万回(一部国内線も入ってますが無視します)と羽田の9万回(現在は6万ですが)をあわせて39万回。1機150人として、離発着旅客数キャパは、

(30万回+9万回)×150人=5850万人

ここから、現状の日本人国際線旅行客や乗り継ぎ線利用者を引くと、国際線のキャパがはじき出せます。日本人国内線利用者2000万人の65%が首都圏を利用するとして、乗り継ぎ利用者500万人を考えあわせると、首都圏の外国人国際線旅客数キャパは、

5850万人ー(2000万人×0.65+500万人)×2=2250万人

なぜ2倍かというと利用者が往来(×2)して旅客数になるからです。したがって、訪日外国人の65%が首都圏利用だとして、現在の首都圏訪日外国人キャパは、2250万人÷0.65÷2=1730万人です。

次に、例えば羽田に1本滑走路を作ることを考えます。現在4本の滑走路で44万回(予定)の発着枠なので、1本11万回と仮定します。すると、訪日外国人キャパは、11万回×150人÷0.65÷2=1270万人、になります。以上から、1730+1270=3000万人が達成できるということです。

ただし、3000万人というと、これはまだまだ机上の空論です。なぜならば、現在東京上空は飛べないという空域の問題、1本作ると言っても船舶航路の問題、漁業権の問題などです。また、そもそも上記計算は日本人利用者や乗り継ぎ利用者が増えないことを仮定したもので、当然増えていく、というより特に乗り継ぎ利用者はハブ化のために増やさなければならないので、首都圏には2本、つまり成田1本、羽田1本新たに必要になってくるのではないかという結論になります。

いずれにせよ日本が輝くために必要な政策です。