先にご報告申し上げたように、広島原爆忌の式典に参加してまいりました。その際に、呉の海上自衛隊幹部候補生学校と第一術科学校にもお邪魔してまいりました。その際に教育参考館で目にしたのが、横山大観の正気放光です。
大きく深くうねった雲海と、荒れ狂う太平洋に囲まれた富士山を描いた作品で、開戦前の世界の中の日本の状況を描いたものとされています。
横山大観は水戸の出身なので、正気放光というのは、恐らく幕末の志士たちに大きな影響を与えた、水戸学の雄である藤田東湖の詩からとっているのだと思いますが(未確認)、その原文を意訳すれば、世の中上手くいくときもあれば行かないときもあるけど、正気をもって頑張れば光り輝く、というような趣旨だと思います。
以前にも触れましたが、横山大観の目を世界に向けさせたのは、東京芸大の創始者である岡倉天心。
https://keitaro-ohno.com/?p=61
だとすれば、この正気放光を横山大観に書かせたのは、藤田東湖+岡倉天心ということになります。その心は、世界観を以って自分を理解する、に尽きるのではないかと思います。
もちろん横山大観は戦前戦中に御用画家であったとする理解の仕方もあります。横山大観の本心を知る由もありませんが、ただ世の中を俯瞰して見るという精神は大切にしなければなりません。