昨年から米価の極端な下落が農家を直撃しております。なんと言っても地方創生に農業という産業は絶対に欠かせない。ところが、もともと主食の米は、どんどんと需要が減っています。年間に生産量の1%にあたる8万トンもの需要が減っているというデータもあります。そうした中、だから生産調整だけをするのだという昔ながらの方法ではない方法がここ1年で導入されました。私は方向は正しいと思っていますが、制度の遷移過程では理想論だけではうまくいかない部分もあります。突如の米価下落に対峙するに理想論は余りに弱い(ただ理想論なき現状対策はバラマキになります。バラマキの定義は好循環を生まない使い方のこと)。
私の理想論を書く前に、まずは現状の米価政策をご紹介させていただきます(もっと大まかな話は以前書きましたのでご参考ください)。
1つは、関係者の皆様ならご存知だと思いますが、少し前から行っています飼料用米への転換促進のための補助について、27年度からは主食用米の生産調整に協力いただければ、1反あたり5千円の産地交付金が追加支給されます。さらに、農家さんから買取・保管・運送まで全農が直接担うことになり(全部で60万トンめど)、現場の負担が減ることになります。また、飼料用米転換のための機械のリース導入などへの支援措置もあります。
1つは、直接支払交付金の1反7500円はご存知だと思いますが、3月までに米価下落緊急対策として、一定の条件のもと、1町3万で1町増えるごとに2万の助成制度(今月が申込み期限)があります。
1つは、ご存じのとおり収入減少の影響緩和対策として従来よりナラシという制度がありますが、是非農家の皆様はご加入ください。平成27年より加入要件が緩和されます。規模の要件もなくなるうえ、集落営農の要件も緩和されますので、認定農家でなくても集落営農に参加いただければ加入いただけます。
1つは、直接支払について、多面的機能支払(井出さらいや草刈り、施設保全など)は最大1反9200円、中山間(急傾斜地など条件が悪い農地など)の場合は21000円、環境保全型(化学肥料を少なくするなど)に対する手当もあります。
ご利用いただける部分がありましたら幸いです。さて、私自身は以前から農政に対する基本スタンスは変わっていなくて、1つは供給サイドから需要サイドの農政への一部転換を確実にやっていくべきだというもの。もう1つは、地方地方の独自性と言えば平べったい言い方になりますが、全国一律に集団処理合理化システムとでも言うべきものを全ての地方が目指すのではなく、一部はキメ細かなサービスを提供できる農業を目指すべきなのかと。問題はバランスなのかと。
前者の理想を言えば、例えばの話、農協の理想に燃えた現場職員が、がんばって例えば海外に出張に出ていき、あるいは全国足を使って回り、地元に戻って組合員の農家さんの集会で、「みなさん、来年から何キロの商談纏めてきたよ、価格はこのレンジで交渉してるから、来年から頑張ってね、条件は安定供給だけですからね」と声をかける。もうやっているところは当然あるのですが、国が制度としてどれだけ後押しをできるのかと、現状ネックとなっているルールを改善する必要があるのではないかというところです。
後者の理想を言えば、例えばの話、農協の理想に燃えた現場職員が、カントリーに入るいろいろな地域の米を全部一緒にするのではなくて、キチンと管理できる構造にカントリーを設計しなおし、地域の中の地域ブランドの整備をしておくこと。もちろん現状カントリーの良さはあります。言いたいのはそれだけでいいのかということです。つまり需要に力を注いでいない(着目してない)ので、供給合理化でカントリーというシステムが生まれた。でも、需要の事を考えれば、本当にカントリーというシステムが全体合理なのかという視点が生じます。
今日は少し細かい話をしてしまいましたが、商談やカントリーの文句を言いたいのではなくて、理想に燃えた職員がいるにもかかわらず、できない壁がある、その壁を取り除かなければならないのだろうと思っているということです。そして理想論だけではなく、今年は何か具体的なものを作ってみようと思っています。いずれにせよ、地方創生は2年の間に成果を生まなければならない問題なのです。
(写真は多度津で脱サラして大規模ミニトマトを営む同級生と)