農地バンク

農地中間管理機構、いわゆる農地バンクですが、簡単に言えば、国や地公体が、農地の貸し手と借り手のマッチングをとることで、農地の利用促進を図りましょうというもの。昨年法律が施行された始まった制度です。香川県は頑張っている度ランキング15位だそうです。

実はこれは先般書きましたシェアリング・エコノミーそのものです。が、今日はその話ではなく、あくまで機構の話。

機構がやるのは農地の貸し借りの中継ぎ、その為の借り受けた農地の整備支援や貸し借りに奔走する職員の確保とか貸し手の協力支援です。

目標は、今後10年間で、認定農業者や集落営農者などの担い手が利用する農地を全農地の8割にしようというもので、現在は5割。具体的には全農地が450万ヘクタールで担い手利用面積が220万。それを360万にしようというもの。

10年で140万増やす必要がある。なので1年で14万ヘクタール。一方で去年の実績は、機構が借りたのが2.9万、貸したのが2.4万。え?全然少ないじゃないかという指摘も多々あってごもっとも。もう少し頑張らなければならないと思います。少し掘り下げたいと思います。

正確には、目標集積面積は149,210ha。で、どのくらい実際に担い手農地が増加しているかと言うと62,934ha。ですから目標達成度は42%です。で、その内どのくらい機構が寄与したかというと、機構の貸付が23,896ha。なので、増加分の寄与度は38%、と言いたいところですが、担い手から担い手に転貸している場合もあるので(この部分は集約に寄与していますが)、純粋に担い手農地が増加した分となると、7,349ha。ということは、12%程度になります。ということは、目標値に対する寄与度は、僅か5%。

では問題はどう頑張るか。当たり前ですが個人の持ち物なので無理やり引っぺがして張り付けるわけにはいかない。それぞれの所有者と担い手が考えた結果として増えていく必要があります。そこには、やるき満々の機構職員や行政職員、農業委員などの関係者が必要になってきます。しかし年間14万ヘクタールというと結構な面積。

最大の問題は農地整備。ご存じの通り、数年前に戸別所得補償制度で農家に1兆円をばら撒いた。やる気満々の農家だけに限定していたのであれば理解できないでもないのですが全戸にやった。どうやって予算を作ったかと言うと、土地改良事業などをばんばん切って行った。コンクリートから人への美名のもとに、農地整備予算がどんどん切られていった。その結果、農家にしてみれば、所得が多少補償されるけどそれはわずか1.5万円/10aであって、一方で農地整備は自分でやってねというに等しい事になってしまった。

つまり、個人プレーを助長する制度であったとも言えます。

土地改良予算は旧自民政権時代の5,722億円から2,129億円程度に決定的に減額されたのちの政権交代で3,588億円まで復活しましたが、農地の実態を見ればまだまだ不足しています。かといって予算が足りないと騒いで財務省から分捕ってくるのも一つやらなければなりませんが、ちゃんと何を重点にするかということを考えておかなければならないと思っています。

そのうえで、そうした土地改良などの基盤整備予算と、中間管理機構の連携がより強くなるような仕組みを促進していかなければなりません。つまり、機構通じて貸し借りするなら整備はどんどんやりましょう、という使い方ができるかどうかです。現在でも、そうした連携は存在しますが、今年度から機構のみを対象にした農地耕作条件改善事業が立ち上がっています。

農地ナビと言われる農地の活用状況が一目瞭然で分かるシステムも現場の方に積極的に利用いただくことが必要です。

http://www.alis-ac.jp/
http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/kikou/pdf/siryou4.pdf

実はこのシステムは発展可能性はとても高いものだと思っています。このことはまた別途書いてみたいと思っています。

さらに、全国で機構をうまく利用している例が多々ありますので、それを横展開することも重要です。

http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/kikou/pdf/yuuryou_jirei.pdf

その他、いろんな方向で努力していかなければならないと思います。農業の発展の為に。