パレスチナの夜空に舞う桜の花

国会の事務所に勤務していた際、いろいろな国の大使館員に誘い誘われ、いろいろな考え方や意見などを拝聴することができ、私にとって世界観が少し広がった時期でした。どの場面も刺激的な会話を楽しんだのを記憶しております。

親父がイスラエル友好議連をしている都合、イスラエル大使や大使館スタッフと仕事のやり取りを重ねていた時期のこと。それが大使館の誰かの記憶に残っていたのでしょう。ある日、イスラエル本国から将来有望な若手国会議員(リクード党のNo3くらいの要職との外務省の説明)が来日し、英語で直接会話のできる日本の議会スタッフ何人かとフランクな話がしたい、とのことで、外務省から私に電話がかかってきました。5人くらい揃えたいがちょっと足りないから来て頂戴、とおっしゃるので、英語・韓国語のできるS氏という秘書仲間を誘って、参加することにしました。

リクード党といえばかなり強硬派が多いという印象があったので、どんな人かと思ったら、同世代の気さくな兄ちゃん。やわらかい話をしたあと、私からずばり聞いてみたいことを聞いてみました。「日本の靖国神社の問題をどう思いますか?」。すると、「アジアの平和と安定を築くためには日中韓の連携は必要だから注意深く見守っているが、その神社のことはよく知りません」と。大使館公使公邸での気さくな、しかもたかが秘書相手の”会話”なので、逃げたとは考えづらく、本当に知らなかったのかと、大変残念に思いました。つまり、それだけ中東から見た日本の近隣諸国の政治問題というのは、遠い国のよく分からない話なのだという肌感覚。

さらに続けて、小泉首相が提唱し、麻生外相が本格始動した、日本が直接関与を試みた中東の4者会議(日本・ヨルダン・パレスチナ・イスラエル)について訪ねても、良いことだと最大の賛意を示しながら、あまり関心もなさそうでした。この4者会談の枠組みは当時は画期的で日本のプレゼンスも高められる意義深いものと思っていましたが、現地の議員からはその程度の認識かと少しがっかりしました。

少し脱線しますが、そのヨルダンもお付き合いがあり、レセプションには必ず参加をしておりましたが、親父が参加すると必ずスピーチはジョークから切り込むらしく、私が初めて大使館のレセプションに伺ったとき、息子だから、と、いかにも何かジョークを言えとばかりに、中東他国の大使に紹介いただいて閉口した記憶があります。余談ついでに、昔から私は英語でスピーチする際に、よく「私の名前はOh!No!ですが、今から喋ることは良いことです」などとジョークを言っていましたが、親父と一緒に仕事をするようになって、親父が私と全く同じことを言っているのを聞いて、やはりDNAは恐ろしいと本当に気持ち悪くなった記憶があります。

本題にもどります。国連が少しHOTになりつつあります。パレスチナがなかなか進まない和平プロセスに業を煮やして、少しでも交渉を有利に進めるべく、国連に国家としての加盟申請をするしないで、国連が大騒ぎになっています。アメリカが拒否権を行使してでも加盟に反対の立場を鮮明にしましたが、アラブの春問題を抱えている英仏は困り果てて国連で緊張が走っています。日本は原子力政策をメインに持っていかざるを得ないのですが、国際世論を引っ張るだけの材料は全く持ち合わせていません。

日本は安保理常任理事国ではないものの、こういうタイミングでは、中東問題にも多少関与していくべきだと私は思っています。もう15年以上も、少数ではあるけれどゴラン高原に自衛隊をPKO派遣している国でもあるのだから、無関係でもないはずです。中東の平和は日本の安定に直結しています。アラブの春の支持、対米関係、そしてエネルギとしての原油の安定供給。前向きな国際的関与、貢献が、国際的評価につながり、国益につながってくるのだと思っています。

写真は駐日イスラエル大使と(当時)