イギリスはどこに向かうのか

「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」−ゴーギャン

この長い名前が付いた絵画をつい思い出してしまうくらい、イギリスのブレクジット(Brexit: British Exitの混成語で英国のEUからの離脱の意)が大騒ぎになっています。2016年に国民投票によって離脱が決まりましたが、現在、どういうプロセスで離脱するのかで揉めに揉めています。無理やり全ての関係を断つような合意なき離脱、と、合理的な話し合いを伴って離れる合意ある離脱、と、離脱慎重派、の3つ巴。合意無き離脱であれば、世界の秩序を揺るがす問題であるとともに、世界経済の混乱を招く原因となりかねません。特に英国とEUにダメージがでるはずです。合意ある離脱であれば、短期的には極端に大きなインパクトはでないはずです。今回はそのことに触れたいと思います。

◆何でEUから離脱する騒ぎになったのか(離脱宣言に至った社会背景)

背景としては国際社会全体が大きな挑戦を受けていることによるものです。1つは主に安全保障上の挑戦です。2つ目は経済的な挑戦です。これらは密接に関係しています。有名なエレファントカーブでしめされているように、経済のグローバル化によって世界は富める者とそうでない者に2分化しています。発展途上国の下位所得層でも所得は伸びていて生活改善の実感は伴っているものの、先進国の低位所得層は所得が何年も全く伸びず生活改善の実感がない。つまり大雑把に言えば不満は先進国の低位所得層にのみ蓄積している。アメリカのトランプ大統領によるアメリカファーストや、フランスの黄色いベスト運動、イタリアの五つ星運動など、欧米で自国主義やナショナリズムの傾向が強くなっているのはそのためです。

イギリスでは、特に高齢者や農村部では、なぜ高い税金を払って東欧やギリシャを支援しなければならないのか、というEU拠出金の不満、なぜワシらの職が移民にとられなければならないのか、という人の移動の自由に対する不満、そしてなぜワシらはEUの司法裁判所に服さなければいけないのか、という国の在り方に対する不満、などが出ていました。

また、そもそもイギリス人は欧州人という意識が低い。ドイツやフランスも一部にそういった不満がでているのも事実ですが、欧州人としての意識がイギリスよりは高い上、EU加盟国としてのメリットをイギリスよりは享受できているので、状況は違う。歴史を振り返れば、イギリスは欧州大陸とは常に異なる動きをしてきたのは事実です。栄光ある孤立と言われたのは19世紀末の振る舞いのことですが、紆余曲折在りながら、時にはバランサーであり、時には敵対し、時には失敗し、20世紀を走り抜け、EUに加盟する際も、他の諸国とは異なる立場で加盟していました。

◆そもそもなんで国民投票なんかしたの?(離脱までの政治の動き)

消費税は反対ですか賛成ですか、という国民投票をしたら、おそらく反対になるはずです。英国は離脱を選択した時点で短期的には経済的損失は目に見えています。ではなぜ国民投票なんかしたのか。英国のEU離脱に関する国民投票を決定したのは保守党のキャメロン政権です。キャメロンは残留派でしたが、当時、党内には強硬離脱意見が多かった。そこに、強硬離脱派の野党が急伸してきて党内強硬派の圧力が高まった。つまり、キャメロンは、国民と野党からの風当たりに加え、党内の風当たりの、3つの風に対処する必要がでた。

普通ならば、党内をまとめる懐柔策にでるところですが、キャメロンは恐らく選挙になれば、自分の保守党は過半数を取らないと踏んだ。そうだとしたら離脱慎重派の自由民主党と連合を組む体制に変わりはないはず。であれば、選挙の公約に国民投票を差し込んでおいても、自由民主党との関係で公約の国民投票を実施することにはならないはずだと踏んだ。ところが選挙の蓋を開けてみたら、勝って過半数をとってしまった。あっ、やばい、勝っちゃった、と思ったに違いない。その結果、2016年の国民投票に至ったというのがどうやら背景らしい。

政治の世界では2つ以上の方向から強い風を受けることは珍しくありませんが、個人的な感想を言えば、そこは踏みとどまるべきであったはずです。

◆今は何で揉めてるの?(合意なき離脱と合意ある離脱)

2016年に離脱が決まって以降、英国政府はEU側と離脱の交渉を続けていました。政府としては途方もない混乱が生じる可能性のある合意なき離脱は避けたい。だから、離脱に関してEU側と、主に拠出金関係、市民の権利関係、アイルランド国境関係、そして離脱プロセスの4つについてのみ話し合いをし、合意案をまとめた。イギリス政府の筋書きとしては、この案で英国議会が可決してくれたら、離脱発効させ、2020年末まで移行期間を設けて具体的な関税などの将来関係に関する協議を行って離脱するというもの。EU執行部側はそれは現在飲んでいるということになります。

ところがこんな合意案ではダメだと反対する議員が少なからずいた。議会が合意案を批准しないのだったら普通は政府はEUと再交渉ということになるのですが、EU側としては出ていこうとしている者に甘い態度をとると離脱国が増えるので、交渉には応じないと宣言した。そうした経緯で合意ないまま離脱するのかという問題がでてきた。なぜならば、離脱を国民投票で決めた後に法的に離脱期限を今年の3月29日としたからです。

合意なき離脱は、移行期間もへったくれもなくなりますから関税などの将来関係の政治議論が不透明になり、結果的にイギリスがしばらくは丸裸になるも同然。関税は跳ね上がり、物品サービスのサプライチェーンは分断され、ポンドは下落、物価は上昇し、外国からの投資も大きな影響を受ける。北アイルランドとアイルランドの国境管理はどうするのか、飛行機は普通に飛ぶのか、介護人材はちゃんとイギリスに入ってくるのか、など、短期的には、それはそれは壮大な、というか、むちゃくちゃなことになるのは目に見えてます。GDPが8%低下するという意見を出す公的機関もある(もちろん中長期的にはイギリス国益中心のEUとは異なる国際化路線を歩むことになるので成長する可能性もある)。

ただし、合意案で完全にまるく収まるかと言えば、そうでもない。最も大きな論争となっているのは、前述のアイルランドとの国境問題。政府は、来年末までには国境管理の具体的解決策を決めるので、それまでは関税同盟に残る、という安全策(バックストップ)を提示しています。これによりアイルランドとイギリス北アイルランドの国境はなくなり、来年末までは凌げるという寸法です。が、離脱強硬派はこの安全策の変更を主張しています。なぜならば関税同盟に残るというのは現状のEU加盟国としての状態と関税的にはほとんど変わらないし、国境管理の具体策を出すと言っても難しいので纏まらなければ永遠と関税同盟に残ることになり、実質的にみなし残留となってしまうことを懸念したものです。

つまり、冒頭書きましたように、合意なき離脱派と合意ある離脱派と残留派のそれぞれが、まぁまぁの勢力をもっていて、議会で何を諮ろうが、全く決まらないという状態が続いているということです。

◆決まらないって実際政治は何してたの?(国民投票後の政治の動き)

2016年に国民投票結果が示され、キャメロンが辞任したのちに就任したメイ首相は、離脱という方向を明確に宣言しました。ただ、離脱を宣言したら党内がまとまるかというと、前述のとおり、すでにその時点で何も決まらない政治になっていた。国論を二分する課題だからしょうがない。そこでまず、メイ首相は、まだ党首として国民の信任が得られていなかったことから、政治基盤を固めることから始めた。つまり2017年の春、解散に打って出た(イギリスの解散は議会の承認がいる)。その結果、保守党(与党)は得票率こそ増やしたものの議席を少し減らして過半数割れとなった(ハング・パーラメント)。なったのですが、民主統一党(DUP)と連立を組むことで過半数を得て、離脱方針のメイ首相は国民の信任を得たことにはなりました。

さらにその後、2018年末には党内の支持が弱くなってきたことをきっかけに、メイ首相は不信任投票にかけられましたが、これは信任された。ただ、そうだからと言って挙党体制が築けたのかというとそうではない。

そしていよいよ今年に入ってメイ首相は、議会に対してEUとの離脱合意案を提示し議会採決を求めました。1月のことですが、結果は与党からも大勢の造反がでて全体で230票の差で否決。当初の法的離脱期限は3月29日でしたから、メイ首相としては何としてでも合意案を議会に通さなければ、合意なき離脱になってイギリスは数年間、地獄を見ることになる。そこでメイ首相は議会に対して更に政治的な勝負をかけていくことになる。

3月12日から14日の3日間、集中的に離脱審議がありました。12日は再度の離脱合意案の採決。結果は149票差で否決。内容があまり変わっていないのだから当然と言えば当然ですが、230票に比べると賛成に回った議員が40人程度いたことになります。しかし否決は否決です。13日は、合意無き離脱回避動議の可否。結果は43票差で可決。法的拘束力はないものの、少なくとも英国議会は合意なき離脱はしないという選択したということになります。最後の14日は、20日に合意案が可決されることを前提にEUに対して6月末まで離脱期限延長を申請することの可否。これも211票の大差で可決。延長の意思は示した。メイ首相は、20日に合意案を可決してくれたら必ず6月までに離脱するけど、合意してくれなかったら長期の延長になるぞ、と半ば脅したことになる。長期延長は殆どみなし残留を意味するので強硬離脱派を牽制することには成功したという結果になりました。

ところが3回目の合意案採決をする予定だった3月20日の前日の19日、バーコウ下院議長が、大幅修正なき合意案の採決は不可能だとする声明を出しました。同じ案を再度採決するような議会にはできない、とのことなのでしょう。

この時点で離脱の法的期限である3月末までの議会承認は不可能と思われたため、もはや大幅延長を申請するしかないと思われていました。しかし実際は、メイ首相はEUに対して6月末までの離脱延長の申請をしました。まだまだメイ首相は諦めていなかったということです。そして申請を受理したEU首脳会議は、イギリスに改めて今月中の合意案の議会批准を求め、否決された場合は2週間期限を延ばして4月12日とし、その時点で新しい計画が出てこない場合は、合意なき離脱、もし議会批准が行われれば期限を5月22日とするということになった。英国議会は再度、合意なき離脱か否かを突き付けられたことになります。

因みになぜ5月22日かというと、7月にはEU議会が始まるので5月にはその議員選挙がある。ということは、離脱の結論が出ずにずるずるとこの時期に入れば、イギリスはEU加盟国資格を失わないままということになるので、法律上、議員を送り込まないといけなくなる。離脱を宣言した国が、改めてEUに議員を送り込むという不思議なことが起きる。イギリスにとってもEUにとっても困難な状況が生まれるということになる。いずれにせよ4月12日までにはEUに議員を出すのか出さないのか決めないといけない、と言うことになった。

メイ首相は最後の挑戦に出る。議会に対して合意案を承認してくれたら辞任するとまで啖呵を切った。迫真に迫る勢いですが、議会側は、メイ首相の強硬な議論の進めかたを疑問視し、法的拘束力はないものの数種の示唆的投票と呼ばれる議員意思確認の採決をした。結果次第では法的拘束力をもった法案化を行ってメイ首相を従わせようとした行動だと言われていますが、結果は示唆に富むものではありましたが、影響を与えるものではなかった。すべて否決。合意なき離脱は160vs400。EU単一市場・関税同盟残留188vs283。EU単一市場残留65vs377。関税同盟残留264vs272。野党労働党案273vs307。離脱撤回184vs293。国民投票再実施268vs295。英EU-FTA139vs422。

そしていよいよメイ首相提案の議会採決が3月29日に行われた。先のバーコウ議長の再裁決不可の判断が一度あるにもかかわらず、なぜ再採決が可能だったのかと言うと、政権は、国境管理に関するEUとの合意について法的拘束力を持たせたことが先の採決とは違うとして議会再採決を願ったということらしい。しかしこの議会採決の結果は、敢え無く否決となった。

もう何やっても否決の議会です。4月12日までに新提案をするか再採決して可決されなければ、いよいよ合意なき離脱となった。メイ首相は、4月に入って後も、議会側と協議を重ねたようですが、結局折り合うこともなく、再度EU側に6月末までの延長を申請したところ、最終的にはEU側からは10月末までの延期することで合意ということになった。4月11日時点の話です。

結局、EU側は、3月から4月11日時点までの英国内の目まぐるしい政治的駆け引きと動きを見て、英国は短期で何らかの結論を出すことはできないと踏んだのでしょう。延期すれば英国に生ぬるい対応と見られるけれども延期しなければ合意なき離脱による混乱で自らも火の粉を被ることになる。思えば3月に決まった4月12日という期限は、EU側にしてみれば、期限を短くして、このままだと合意なき離脱になるぞ、と英国を揺さぶってみた、ということなのでしょうが、何ら結論はでなかった。ならば今度は10月だ、とメイ首相の提案以上の期限を切って、このままだとみなし残留になるぞ、と揺さぶっているように見えます。

◆これからイギリスはどうするの?(今後の政治の動き)

いずれにせよ、少なくとも3月末までの離脱期限が10月末までに延期されたことは確かなことです。3月中の採決がもはや困難であることが明らかになるにつれて、直前の期限であった4月12日には合意なき離脱になる公算が高いと見られていただけに、ひとまずの混乱は避けられたことになりますが、なんら決まっていないことには変わりがない。

再度国民投票できないのかという意見もときどき聞きますし、そう主張する英国議会議員も一定程度います。どういう内容の投票にするのか、するとしてもその結果に満足しない勢力が再再度の投票を求めたら無視できなくなるため、当初は実現可能性は乏しいと思われていました。また、解散という話も聞こえてきます。これで解決することにはまったくなりませんので、これも当初は実現可能性は乏しいと思われていました。しかし、期限が10月となったため、期限という意味で多少の余裕がでてきたため、可能性はなくもない。

メイ首相は自らの離脱案を修正することはまずないと思います。一方、3月までの議会の投票行動を見てみると、メイ首相案に賛成とは言えないけれど大きな政治判断として賛成に転じる議員が増えてきたことは事実。であれば、第一義的にはメイ首相は議会に理解を得る活動を続けるのだと思います。ただ、強硬な姿勢を崩さない議員もいるため、結果がまったく分からないとしても、解散するとか国民投票するとかの奇策をうって事態を打開するということも十分可能性はでてきたのだと思います。これはまるで、調子が悪くなった機械を、軽くトントンと叩いてみたくなるのと同じです。それで解決されるということではないものの、何かが変わるかもしれないということと、実際に何かが変わって調子よくなることもあるという経験則に基づくものです。

合意ある離脱になった場合、離脱から2020年末まで移行期間が設けられます(延長されるかもしれませんが)。この間は英国はEU加盟国並みの扱いになり、表面的には混乱はそれほど多くないと思います。英国としては、その間に、将来関係の具体的外交協議に入ります。英国にとって主要な交渉国は当然EU。しかし、その他の国との外交交渉もこの間に済ませるのが望ましいはず。日本で言えば最低3本の協定を交渉することになる。この間、英国外務省は恐らくバケツの水をひっくり返したような忙しさになるはずです。

将来関係の議論の結果は、ヒトの移動や司法管轄権、拠出金や意思決定への参画などについては制限されることになると思いますが、その他は現在のEU関係と同程度になるものと予想しています。もちろん、EU側が立場的には圧倒的に有利であることは間違いないので英国は細部で譲歩を迫られることになるのかもしれません。

仮に合意なき離脱になった場合、おおよそ7000程度の外交的協定を再交渉する必要がでてくると言われています(未確認)。日EUの経済協力協定EPAがこの2月に発効しましたが、この交渉でも相当の時間がかかっています。こちらのほうが、途方もない労力がいるはず。

いずれにせよ、イギリスのEU離脱は国際秩序の形成にとっても経済的にも短期的にはネガティブインパクトとなる話ですので、合意なき離脱だけは避けてほしいと願うしかありません。ただ、仮に合意なき離脱となったとしても、中長期的にはイギリスが独自の手法で国際秩序形成に大いに貢献することになる可能性は大いにあります。世界にとって、短期的に大きな痛みを伴っても、中長期的にメリットを享受できる可能性はある。しかしそれは現時点でエビデンスに基づく確度の高い将来予想からくるものでは決してないことは、我々は肝に銘じないといけません。

◆日本にはどんな影響がでるの?

先行きが見通せないために、メーカー企業が英国から撤退を計画したり、在庫を積み増したりしているようですが、それ以外に、ポンドの下落、EUと英国両方の需要縮減と経済成長低下、物価上昇、関税手続き煩雑化、旅券制限、犯罪者情報相互共有、携帯電話、運転免許、など、様々な意見がでています。実際にはどうなのか。

合意ある離脱の場合は、マクロでみれば直接大きなインパクトとなる可能性は低いはずですが、問題は合意なき離脱の場合です。実際に前述したような影響は大いに出る。まず貿易ですが、イギリスが諸外国と経済協定を全部結びなおすには少なくとも3~5年。全部できて10年くらいはかかると見ています。一方、典型的に影響を受けるのは日本の自動車メーカです。イギリスを拠点にEUに出荷しているケースが多い。従って在英支店の収支は劇的に悪化するはずなので、この間に生産戦略を再考しなければならなくなる筈です。5年とか10年というスパンで先が見通せない事態になるということは、イギリスから生産拠点は撤退しなければならなくなると見るのが一般的だと思います。

一方、その他の商品のイギリス向け貿易の絶対額は意外かもしれませんが限定的です。しかし、関税手続きが暫くは煩雑になったりと、困難は続くものと思います。

私が最も気になるのが、イギリスが金融立国であること。先にも書きましたが、合意なき離脱となった場合、短期的には生産・消費・労働力のアラユル面で低迷が続き、為替下落と物価上昇の圧力が加わります。金融立国は世界全体のマーケットに多大な影響を与えるのはよく知られていることで、必ず世界経済に影響がでます。日本政府も日銀も、ブレクジットの影響を見越して経済財政金融政策を運営する必要がでてきます。

◆日英の関係は?

日本とイギリスの関係は、過去最高と呼べるレベルにあります。今年1月、安倍総理は4度目の訪英で日英共同声明を出し、最も親密な友人でありパートナーとして、同関係が次のステージに引き上げられたことが確認されました。次のステージとは、安保、経済、イノベーションです。特に連接性と安保協力で言えば、例えば昨年から今年にかけて4隻ものフリゲート艦(「サザーランド」「アーガイル」「モントローズ」)や揚陸艦(「アルビオン」)が日本を訪れ、日本と協力して東シナ海を含む日本周辺海域の警戒監視活動を行っています。これには、北朝鮮に向けた違法活動(瀬取り)の監視も含まれます。また、昨年10月には英陸軍と陸上自衛隊が初の共同訓練を行っています。また、今春は外務・防衛両大臣による「2+2」と呼ばれる安保会議が開催される予定になっていました(離脱問題で延期となりましたが)。メイ首相は、昨年初頭、日本が誇る護衛艦「いずも」を訪問し、この時は小野寺防衛大臣が同行しています(私は待機要員で防衛省にいました)。またそれに先立つ一昨年末、小野寺防衛大臣も訪英の際にイギリス海軍が誇る最新鋭空母「クイーンエリザベス」を訪問しています。

既存のリベラル秩序を維持発展させるため、それを支える世界の自由貿易体制を支えるため、また自由で開かれたインド太平洋を実現させるため、日英協力は極めて重要なパートナーシップであることは間違いありません。英国が如何なる困難に突き当たったとしても、この関係は維持すべきです。

◆EUとはそもそもどんな結束?(参考)

EU(英国含む)を一括りにすると、人口は中国に次いで5億人の2位、名目GDPは米国に次いで17兆ドルで2位の28か国からなる地域で、4つの自由、つまり、ヒト、モノ、カネ、サービスが結束の中心軸になっていて、その上で加盟国はEU法に縛られ、EUに拠出金を払い、一方で意思決定に参画できることになっています。

EUの予算は15.7兆円。拠出金は、独3.4兆円(21.9%)、仏2.5兆円(15.8%)、伊1.9兆円(11.9%)、英1.7兆円(10.6%)、スペイン1.3兆円(8.4%)など。一方で、EU議会議員はほぼ人口割りで、議席数は750。独96、仏74、伊73、英73、スペイン54などです。

貿易で言えば、EU→米47.5兆円、米→EU32.5兆円、EU→中国25兆円、中国→EU47.4兆円、EU→日本7.7兆円、日本→EU8.7兆円。

因みにイギリスの貿易はEU中心で、輸出は、EU43%、米18%、中国3%、日本2%、輸入は、EU54%、米11%、中国7%、日本2%です。

(状況の進展を受けて適宜加筆訂正しております)

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