直接宇宙とは関係ない民間企業も含め30社以上が結集し、近い将来に月面活動が盛んになることを見越して月面での産業を創出するため、日本全体でビジョンを共有しようと立ち上がったのが、月面産業ビジョン協議会です。Bloombergの報道のタイトルが面白く、「Sonyからカップヌードルまで」というもの。それだけ多様な会社が参画しています。産学政の団体ということで私も脇役で参画しておりました(メンバーは下記資料)。
爾来、数か月に亘り、大勢の参加者のもと(リモート)議論を重ね、過日、月面産業ビジョンとして発表させていただきました。併せて、井上担当大臣に提言書を申し入れました。ビジョン策定の主体は、あくまで参画されている企業群です。そこに最大のかつ過去に類を見ない画期的な価値があるのだと思います。
目指すビジョンは題してPlanet6.0。Society5.0の次のビジョンを意識したもので、Society5.0とは、私も党調査会PT事務局長として策定に参画した第5期科学技術基本計画で示された目指すべき社会のビジョン。すなわちサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)と定義されていますが、Planet6.0は地球を超えて他天体も包含する次世代のビジョンという非常に意欲的な名前としています。
ガガーリンが有人宇宙飛行を達成し、アポロ計画が発表されてから丁度60年が経ちました。そしてスペースシャトルが初めて打ち上げられて40年、国際宇宙ステーションから約20年が経ちました。
一方で、日本が、宇宙を科学探査のみならず産業や安全保障として捉えて宇宙基本法を制定してから13年が経ちます。この13年は宇宙空間にとって劇的な変化でした。
最近ではSpaceXのクルードラゴンが有名ですが、国際的に見て、宇宙開発利用が政府主導から民間主導に移った時代です。実際に、宇宙ベンチャーは世界で1000社以上に上り、リスクマネーは1兆円以上と言われ、市場規模は40兆円に達しており、明らかに100兆円市場が見えています。
日本でも、iSpace,Ale,AstroScaleなど、一昔前では考えられないくらいの資金調達を市場から実施している企業も多数あり、未確認ながら日本の宇宙ベンチャーは40社を超えると言われています。
政府や議会も民間の活動を後押しするルール作りを進めてきました。宇宙基本法以降、宇宙活動法や、最近では先に報告いたしました小林鷹之代議士と努力して成立させた宇宙資源法などです。
今こそ、もう一度、なぜ宇宙なのか、なぜ月面なのかを再確認し共有したいと思っています。それは、単に夢とか希望という、それはそれで絶対に必要な価値を超えて、ビジネスの可能性です。アルテミス計画は、その一つの官民結節点でしかなく、それを超えた将来ビジョンです。その一つが今回の月面産業ビジョンだと思います。
このビジョンを政府側にも共有頂き、本格的な宇宙利活用時代になることを目指していきたいと思います。
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210713/k10013137381000.html
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2107/14/news060.html
https://news.yahoo.co.jp/articles/9a7277744af5b452b1660109ce011400a2aa46a8
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC08DVT0Y1A700C2000000/?unlock=1