夏になると毎年、先祖が眠る宗林寺にお墓参りを致しますが、田舎であるが故か、水汲み用のバケツや雑巾を見たりすると、どうしても時期的に戦前の光景を想像でしかありませんが思い浮かべたりします。
本日、77回目の終戦記念日を迎えるにあたり、戦禍に倒れた300万柱を超える英霊に、心から謹んで深甚なる哀悼の誠を捧げ、恒久平和への弛まぬ努力をお誓い申し上げる次第です。
私が初めての選挙を迎える直前の11年前の終戦記念日に書いたブログを読み返しました。30年前の大学生であった自分の心境、そして11年前の東日本大震災直後の政治の混乱ぶりを見た自分の心境を、淡々と綴っていることを発見し、今の日本の現状が、英霊の御霊を前にしたときに誇れるものになったのかを紋々と自問し、改めて国政を委ねられた身として、この国の未来を背負っていく覚悟を新たに致しているところです。
11年前は、隣国の中国の勃興が目覚ましく、間違いなく経済力は追い抜かれ、10%を超える伸びを示す軍事費に、著しい危機感を覚えていた時代でした。国際秩序の混乱は、興隆する国が既存の国際システムに挑戦し、自らに有利なシステムを構築し始めるときに起こるもので、とある歴史家曰く、興隆する国は驕り、追い抜かれる国は焦る、この驕りと焦りのギャップのエネルギーが極度に高まったときに紛争は起きるものだ、と指摘していたことを思い出します。
翻って今年、ロシアがウクライナを侵攻し、未だに停戦が実現できない国際システムの脆弱性を目の当たりにし、また中国が台湾海峡周辺での軍事演習を活発化させ、先日初めて日本の排他的経済水域にもミサイルを撃ち込むという暴挙に及びました。中国は、ペロシ米下院議長の台湾訪問を口実にすべきではありません。そもそも要人訪問とミサイルは国際法上の均衡も取れません。
国際秩序の劣化が極まりない現状にあり、焦らずに粛々と必要な抑止力を十二分に確保する必要があるのは当然です。声高に台湾有事危機を煽る向きもありますが、政治がなすべきは、有事となろうが十分な対処力を我が国と同志国が有するということを内外に分からしめ、以て抑止力を最大限に提示することこそが、紛争を予防することであって、国内の分断を生みかねないような先鋭的言動は現に慎み、事態を管理することにあるのだと思います。
外交が先だとする間の抜けた言説を主張する向きもありますが、それは当たり前の話であって、その外交力を最大限に高めるものこそが同志国とともに果たす抑止力の向上であることは犬養毅でなくても分かる話です。先に触れた国際システムの脆弱性を解消し、すなわち国連やWTOなどといったこれまでのシステムを改革し、これ以上の国際秩序劣化を食い止めることは焦眉の急を継ぐ課題です。
焦らず奢らず淡々と、抑止力を必要なだけ高め、更には同じ予算を使うのであれば、我が国に十二分に裨益する産業構造を作り、二度と苛烈な紛争を経験することのないよう、引き続き国政に邁進してまいりたいと思います。
改めて、戦禍に倒れた300万柱の御霊に最大の感謝の意を表したいと思います。安らかにお眠りください。