年金の運用の在り方について触れておきたいと思います。
年金保険料の運用はGPIF(Government Pension Investment Fund)という独立行政法人
で運用されますが、以前より運用の不透明さや不効率さが問題視されており、200
8年にも政府内で議論されましたが、抜本的な改革なく現在に至っております。
改めて、景気回復のきざしが見えている現時点で、再度運用の在り方について党内で
議論が行われています。ポイントは、運用のポートフォリオ。つまり、成長に資する
資産運用の是非です。
110兆円という韓国のGDPに相当するような莫大な資金の運用ですからは、市場に
及ぼす効果も大きい上、海外から見ればアベノミクスのリトマス試験紙に見られます
ので、非常に重要な課題です。
是非、見直していかないといけないと思っています。
まず基本的に考えますと、運用目的は保険者に資するものであるべきで、目的に成長
うんぬんを含むことは避けなければなりません。つまりリスク管理のできないリスク
資産を持つことは現に慎むべきであることは論を俟ちません。
しかし一方で、経済成長は保険者にも資するものであるため、当然リスク資産はある
程度許容されるべきです。ポートフォリオの拡大はリスク分散にもつながりますので
必須であると考えます。GPIFが動けば当然他の機関投資家も動かざるを得ないわけ
で、小規模な資産運用に比べれば規模のメリットは多少なりとも高いと言えます。
海外に目を転じると、公的年金のオルタナティブ資産の比率を見ると、オランダが2
8%、カナダ16%、カリフォルニア州が23%というデータを目にしました。はっ
きり言えば驚きの数値ですが、このように類を見ないわけではないので、検討はすす
めるべきです。
さらに言えば、この視点に立てば、海外資産よりも国内資産の比率を高めていくべき
です。そもそも海外投資は金で金を生むだけですが、国内投資は将来価値を生み出す
種を植えることに他ならないからです。
問題は、どのような分析のもと、どのように戦略をたて、どの程度のリスクとって、
どのようにアカウンタビリティを確保し、誰が責任もって決断し、誰が責任をとるの
か、ということが重要になってきます。
しっかりと議論していきたいと思います。