いよいよ第193回通常国会が始まりました。天皇陛下の退位や憲法改正と言った日本の背骨に当たる課題を慎重に落ち着いて粛々と議論するほか、63+αの具体的法案を審議する予定です。テロ対策の在り方、理想の働き方、日米同盟強化などについての法案・条約を審議します。まずは我々としては予算案と関連法案の成立を目指さねばなりません。
一方で、法案審議だけではなく、法案になる前のネタ作りも政治家にとって非常に重要です。これらは専ら党内の仕事。私の場合は、地方創生や日本経済再生など、日本に新しい価値が生まれる土壌や環境に資するような政策の玉込めを行っています。
通常国会冒頭は、政府の基本的方針や議会に期待することを述べる政府4演説が総理・外相・財相・経済相によって行われます。いわゆる施政方針演説です。今年の注目ポイントはトランプ。なぜならば、世界的に注目されたトランプ氏の就任演説と同じ日であったからです(トランプの方が後)。総理からアメリカや世界に向けたメッセージは、日米同盟やTPPの重要性でした。
一方でトランプ大統領は予想通りTPP撤退の表明を行いました。その他、オバマケア修正や公共投資拡大、法人税減税などによる景気刺激策、雇用の重視といった内容でしたが、選挙戦中の路線とは基本的には変わらないので、既定路線でサプライズなし。
ただし、多くの政策的矛盾を抱えたままの門出となったため、これから政策の詰めの作業をしていくものだと思います。人事を含めて、アメリカの場合は通常100日間が準備期間だと言われますので、100日間は様子見だと思います。
日本は、安倍総理が施政方針演説で示したように、TPPが世界経済にとってどういう普遍的意味を持つのか、どういう価値をもっているのか、ということを世界に訴えていく必要があると思っています。何せ、なぜTPPなのかということが理解されているとは思えず、おそらくトランプ大統領にとってTPPはモノの貿易自由化にしか見えず雇用を奪う最大の敵と見えているのだと思います。またバイ(2国間)の交渉を進めようとしていますが、重商主義でもあるまいし、マルチ(多国間)交渉を進めることで世界ルールを模索するのは当然です。第一、中国に国際ルールを守らないと発言をたびたびしていますが、TPPはそうしたルール作りに資するものですから、アメリカはそういうならTPPを推進して中国を抱き込まなければなりません。
一方で、トランプ氏の中東政策(IS排除・イスラム過激主義者排除)の話を聞いていて、具体性に乏しいながら(もちろんまだ就任演説なので具体的であるはずはないのですが)改めて中東への関与を表明したことに安堵します。今の中東は。中東のスーパーパワーがアメリカの関与低下とともに弱体化し、相対的にトルコやイランと言った、いわゆるアラブ人ではない国の影響力が増してきています。それが副次的要因になって、IS以外の別の過激組織が跋扈し始めているように見えます。これ以上の混乱は避けなければならない。オバマ以上、ブッシュ以下の関与をするのは当然として、より複雑になった方程式全体を解いていかねばなりません。
日本も中東への国民的関心を高めていなかなければなりません。そして日本自身も日本ができる範囲で関与していくべきです。