年末ご挨拶

年末まで数時間となりました。改めて本年も皆様にはひとかたならぬご厚情を賜りましたことを心から感謝申し上げます。

今年を振り返りますと、何よりも台風災害で甚大な被害が発生し、多くの方々が被災されました。改めてお見舞いを申し上げます。発生直後は多くの電柱が倒壊し停電が長時間続くという事態が発生しました。ブルーシートを家屋に被せて雨風をしのぐ方々もいらっしゃいました。日本の防災能力を向上させる必要性を日本中の方々が実感した年ではないでしょうか。また、京都アニメーションでの残忍な放火事件がありましたが、こうした事件が後を絶たないことは残念でなりません。事前防止として何かできることはないのか考えさせられました。

また、政界では年末差し迫る時期に、IR事件という誠に昭和的な汚職が明るみになりました。まだ検察側の主張をマスコミを通じて聞いているだけで、結論は司法の判断を待たざるをえませんが、政治の信頼という私が最も大切にしていることがらを失墜させたのは事実であろうと思います。誠に遺憾でなりません。思えば年初から、統計問題などがつづき、昨年に引き続き、政府の信頼性が傷つけられました。それぞれの問題は、課題も原因も全く異なり、十把一絡げには断じることはできませんが、多くの国民には不信感が残っているのではないかと思います。それだから余計に、身を引き締めて、謙虚さと真摯さを肝に銘じる必要があるのだと思います。

一方で明るい話題も多くありました。何といっても、元号が令和になったことです。心機一転を図るにこれ以上のことはありません。時代が変わったことで、改めて、令和の時代にしていかなければいけないという能動的な感覚を大事にしていきたいと思います。また、現職の安倍晋三総理が歴代在職最長となりました。歴史の中で生きている重みを感じるできごとでした。

また、ブラックホールの撮影という世紀の大成功を日本の天文チームがおさめてくれたり、惑星探査機の「はやぶさ2」が史上初めて小惑星「リュウグウ」への着陸に成功し帰路についたりと、日本の科学技術力を感じました。科学技術イノベーション政策に従事している手前、日本のそうした底力に黄色信号がともっていることを十分に認識しているので、改めてひと時の安堵を与えてくれました。それと同時に、もうこれが最後になってしまうかもという焦燥感にもかられ、来年からの活動の原動力にしていきたいとも思っています。

国際関係に目を移すと、年初から、中国が人類史上初めて月面の裏側に無人機を送り込み、香港では大規模デモは発生し、また中距離核戦力全廃条約が失効、米中貿易戦争が一進一退の攻防を繰り返し、日韓の問題が改めて大きくクローズアップされました。戦後、国際社会が築いてきた安定と繁栄が揺らいでいることを改めて今年も実感することになりました。

一方で、今年はG20で日本が議長国として世界の平和と繁栄に資する提言を発することができたのは大きな一歩であったと思います。思えば、ここ数年、主要国では内政の不安定化により、国際政治問題では日本が頼られることが多くなってきました。これまで、経済1流政治は3流などと揶揄されたりした日本ですが、もっとも信頼されるリーダーが日本の首相であるという海外主要紙のアンケートを見たときに、大きく時代が変わったものだと思いました。

以上のように多くのことがありましたが、来年が皆様にとりまして、よい年になりますよう、こころからご祈念申し上げます。